はじめに
上流に合わせた末に
一方、私の姉は違いました。「上」の方に合わせてしまったんですよね……。今でも彼女のことをアホだな、と思うことがあります。彼女のお金の使い方というものは反面教師にしてきたところがあるのですが、立川第六中学校という公立からせっかく東京都の「第8学区」ではNo.1の立川高校に次ぐ第2位の「北多摩高校」に合格したというのに、なぜか「私立に行くのが格好いい」という当時のハイソな漫画やらちょっとしたきっかけで出会ったであろう知り合いの空気に流され、私立を受けるわけですよ。
結果的に某私立女子高に行くに至ったのですが、「制服がダサい」と散々文句を言ったかと思えば、入学からわずか半年でアメリカに我々の一家は引っ越すことになるわけです。 あの100万円の入学金はどうなるんだよぉ~という両親の悲鳴が聞こえてきそうですが、このミーハーな彼女のブランド志向というものはその後も続き、行った大学は日本屈指のお嬢様大学。
当然エスカレーター式のため、在校生は金持ちだらけ。「あのな、ウチなんてその学校からすれば階級が違い過ぎるんだよ……」と言いたくなるのですが、彼女はその大学へ入ってしまいました。
その後彼女は金持ちの娘である友人と行く店を合わせる結果になったため、バイトを必死にやる必要があり、一体お前は大学で何を学んだんだオラ、といった状況になってしまったように私からすれば感じられます。
「オレはオレ、あいつらはあいつら」
私が博報堂のそこそこ裕福な方(含む超お坊ちゃん、お嬢ちゃん)と同僚になってもそこに引きずられなかったのは、姉が分不相応なことを無理してやった無様で惨めな姿を何年か見てきたからかもしれません。私は「我が家は公立で大学まで行くべき家庭」だと思っていましたし、博報堂のような会社に入っても「オレは裕福な家のご子息とは違う」ということは分かっていました。
だからこそ、「オレはオレ、あいつらはあいつら」の考えが分かってきたのでは、と今は思っています。また、現在はそれなりにお金は稼いでいると思うものの、別に突然行く店のグレードを変える気もありません。
とはいっても、時には散財する必要があることは分かっています。毎週通う某飲食店があるのですが、その店の馴染みの店員が高級店に転職をしました。その店のオープニングスタッフとして請われて移ったわけですが、彼女の転職祝いはしたいですし、彼女がキチンとした働き者であることを新たな職場の人に見せる必要があると考えました。それまで彼女が務めていた店は2人で1万1,500円ほどです。
しかしその転職先、2人で45,000円! でもいいんです。こういう時はキチンと払いますし、店長や他の従業員がいる前で彼女に転職祝いのお土産を渡す姿も見せます。
とにかくお金の使い方というものは、周囲に流されることなく、昔と変わらぬ金銭感覚を持ち、必要な時は躊躇することなくドーンと払う。これでいい、とつくづく思っています。