予想をする際は小さい数字を積み上げよ

決算説明会資料でビジネスモデルや業界の動向などを理解し、決算短信や有価証券報告書で直近の業績を確認したら、つぎにやるべきは将来の業績予想です。よく予想の精度があがらないと相談を受けますが、予想の精度が低い人はだいたい「大きな数字」を当てにいきます。

「大きな数字」とは、たとえば売上高のことです。「今年の売上高は10億円だったから、来年は12億円ぐらいだろう」という具合で、売上高の予想をこのようにザックリしています。しかし、決算説明会資料でその企業のビジネスモデルを理解すれば、売上高を因数分解することができます。そして、各因数を予想することで、精度を上げることが可能になるのです。
 
たとえば、ゲームアプリを運営している企業があるとします。このゲームアプリには無料版と有料版があり、売上高は有料ユーザーからの課金額だけとしましょう。そうなると、この企業の売上高は「アプリの価格×有料ユーザー数」で計算ができます。更にいえば、「無料ユーザーの何%が1年のうちに有料ユーザーになるか」や「有料ユーザーが1年のうちにどれだけ無料ユーザーに戻る、またはアプリ自体を使わなくなるか」など、各因数に影響を与えうるシナリオを全て定量化して予想することで、予想の精度を上げられます。説明会資料でマーケットの規模とこの企業の現在のシェア、そして競合との状況を把握できれば、売上高の計算式における前半の部分もさまざまな仮説を立てて検証できますね。

「競合がアプリの価格を下げているから、この企業が値上げという選択肢をとる確率は低い」や「まだこのマーケットでのシェアが3%にも満たないので、業績拡大の可能性は十分にあるが、そのためには先行投資として、広告宣伝費がかかる」などです。

月次のデータも見てみよう

このようにして将来の業績を予想するわけですが、決算自体は四半期毎に発表のため、事業の進捗を見て自分の予想があっているかを確認できるのは3ヵ月に1回になります。それでは少し不安になりますよね。

小売業界や外食業界だと、紹介した資料以外にも、ホームページ上で毎月のデータを公表している企業が多くあります。しかも、全店と既存店のデータを分けて公表してくれているため、より実態を把握しやすいようになっています。

株式投資は必ず儲かるわけではなく、損をすることもあります。ただ、なんとなくの感覚で投資をするよりは、緻密に業績を分析し、リスクを低減していくことは可能です。面倒なことをしてまで資産運用はしたくない人は投資信託を活用すればいいと思いますが、株式投資をする人は知っておいていい手法でしょう。