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株高はどこまで続くか?「12月相場」で注目したい“2つの指標”

日経平均が年初来高値を更新

日経平均株価の上昇が続いています。11月26日には、一時2019年の高値となる2万3,608円まで上昇しました。

株価が上昇している背景として、一般的には米中貿易交渉の進展が多く用いられます。しかし実際には、次の2つの要因も大きく影響を与えていると考えられています。


FRBが“隠れ量的緩和”?

1つは、米国の中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)によるTビル(米財務省短期証券)購入です。

米国の債券市場では、今年の夏場にかけて、財政赤字の拡大などにより短期金利が上昇し、資金調達市場の緊張感が高まりました。債券市場では長短金利が逆転し、景気後退のシグナルともいわれる逆イールド状態が発生したことを覚えている方も多いと思います。

これに対しFRBは、流動性注入によって資金調達市場を安定させることを目的として、Tビル購入を決めたのです。FRBはこれまで資産圧縮を進めていましたが、Tビル購入により、8月末の3兆7,600億ドルから4兆0,500億ドルにまで保有資産を拡大しました。

FRBのBS

FRBはTビル購入について「長期金利を押し下げて景気を下支えすることが目的ではないため、量的緩和ではない」としていますが、株式市場は実質的な量的緩和だとして好感し、株価上昇につながっているのです。

ブルベア型ETFの残高が示すもの

2つ目は、引き続き高水準が続いているショート(売り)ポジションの存在です。

下のグラフは、日経平均株価の代表的なブルベア型ETF(上場投資信託)である「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」と「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」の残高推移です。

ブルベアETF

昨年末に株価が急落したことを受け、強気型である日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信の残高は、年初に6,000億円弱まで拡大していました。一般的に、このような上場投信の残高拡大は将来の売り需要となるため、株価の上昇を抑えるとされています。

日経平均株価は、年明け以降、徐々に上昇していきましたが、このような上場投信などの売りもあり、2万2,000円前後で頭を押さえられる展開が続いていました。しかしながら、前述したFRBによるTビル購入が開始されて以降、海外投資家の日本株に対する買い圧力が強まりました。

これを受けて、日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信の残高は2,000億円程度まで減少する一方、弱気型である日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信の残高が増加。足元では、強気型を上回る2,700憶円弱まで増えているのです。

このような弱気型の上場投信の残高は、将来の買い戻し需要を発生させるため、株価の下支え要因となります。今後も米中貿易交渉の進展状況で一喜一憂する相場は続くと考えられますが、中長期的なトレンドを考えるうえでは、「FRBのTビル購入」と「ブルベア型ETFの残高推移」に注目してみるといいでしょう。

<文:シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎>

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