はじめに
住居費がアップしても貯蓄は可能?
住居費は今、3万3000円。家賃補助がなくなると、11万円に支出が増える見込みです。そうなると、家賃の割合は収入の40%ほどとかなり大きくなります。いわゆる適正な家賃割合は、月の手取り収入の25%前後ですから、比較しても大きいことが分かります。
ただ、東京都内ではその割合で住居を見つけることが難しいケースもあります。「都内だから仕方がない、仕事の継続や幼稚園への通園に必要」などと生活や環境を優先するのか、「家賃はできるだけ少なくしておきたい」と考えるのか、どちらを優先するのかは考え方によると思います。
幸い、現状からみると、支出が増えても毎月黒字でやりくりができそうです。いまの月の支出は12万9000円ほどですが、住居費が増え、お子さんが幼稚園へ通い始めると23万6000円ほどに増えると考えられます。それでも3万8000円ほどの余剰が出ることが見込めますので、当然いまよりも、貯蓄のスピードは遅くなってしまいますが、それをコツコツ貯めていくということは可能でしょう。
ゴルフへの支出が多いことを気にされているように感じましたが、メンタル面での充実や仕事がスムーズになるなど利点が多いのであれば、自分への投資的な支出としてこのままでよいのではないかと思います。
老後資金は運用も視野に入れて、コツコツ準備を
老後資金については、今年「老後の暮らしは、年金だけでは2000万円不足する」などという報道があったため、不安に思っている人が多いようです。ですが、全員が2000万円必要ではありませんし、2000万円では足りない人もいます。つまり人により異なるものですから、あまり大きく不安に思わないことです。
相談者さんは将来的にいくらの年金を貰えるでしょうか。1ヵ月の生活費はいくら必要でしょうか。退職金はいくらもらえるでしょうか。このようなことで、必要な老後資金は大きく変わります。
老後資金は、教育費とのバランスを見ながら貯めていかなくてはいけません。いまの貯蓄は20代としては頑張って作っていらっしゃると思います。ただ、すべて貯金で保有していると増やすことは難しいため、iDeCo(個人型確定拠出年金)などで運用することを検討してもよいと思います。
始める際は、加入している公的年金と企業年金により掛け金の上限が異なるので注意が必要ですが、相談者さんは少なくとも30年は運用できますから、複利の力でお金が大きく増えていくと思います。
例えば、毎月1万円を30年積み立てて仮に3%で運用できたとすると、積み立てたお金は360万円ですが、利益が200万円以上出ることが見込めます(実際にはずっと3%で運用できるということはないので、金額は不確実です)。預貯金だけでいくのと、リスクを見込んで投資をするのと、どちらかが絶対にいいなどと断言はできませんが、投資に興味があるのでしたら、ぜひ取り入れることを検討してみてはいかがでしょう?
運用するなら多少知識も必要になると思います。ですが最近はそれらにまつわる情報がたくさん出回っているので、そこから学ぶのもよいでしょうし、FPなどに聞きに行ってもよいでしょう。
ちなみに、iDeCoは私的年金制度なので、税制面で優遇されています。掛け金が全額所得控除となるため、所得税、住民税が安くなります。運用益にかかる税金(20.315%)が非課税となり、受取時も退職所得控除または公的年金等控除が使えます。ただし、60歳まで解約ができず、お金が受け取れなため、「急にお金が必要になったから引き出したい」というようなことには対応できません。
まだ若い段階から意識してはじめると、将来的には良い結果が出ると思います。ぜひ、検討し取り組んでいただきたいと思います。
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