はじめに

IR関連銘柄の本命は?

このような状況を踏まえたうえで、株式市場にはどんな影響が出てきそうなのでしょうか。ゲーミングによる収入がIR施設の大部分を占めるという試算もあることから、カジノ関連銘柄が注目されると考えられます。

たとえば、バンダイナムコホールディングス(7832)やコナミホールディングス(9766)などゲームマシンを作っている企業や、ユニバーサルエンターテインメント(6425)のようにすでに海外のIRに参入している企業。グローリー(6457)などの現金処理を担う企業や、テックファームホールディングス(3625)など電子決済を扱う企業も物色されそうです。

また、ゲーミング部分において厳重に管理・運用をする必要性があることから、警備企業にも恩恵が期待できそうです。さらに、イカサマ対策や防犯の観点から、防犯カメラ関連企業にも大きな需要が発生するものとみています。中でも、オリンピックにも使われたNEC(6701)やパナソニック(6752)など、顔認証技術を持つ企業にも注目したいところです。

海外のカジノを例に見ると、エンターテインメント性を重視していることから、日本らしさを持つ芸能や漫画、アニメなどのクールジャパン関連銘柄にも期待が持てそうです。特に、動画配信サイトの隆盛により、海外においても気軽にアニメを見られるようになった影響は大きいと考えています。

周辺銘柄にも高まる期待

漫画やアニメの聖地巡礼の需要が高く、観光公害となっているところも出てきているようです。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、MR(複合現実)などを用いた新たなエンターテインメントが、開業までに生まれる可能性もあります。また、有力なキャラクターなどのIP(知的財産)を持つ企業にも注目です。

他にも、鉄道・バス・タクシーなどの各種交通機関の企業も面白そうです。IRまでの移動手段として使われるという恩恵と地域の雇用が創出される点で、定住人口が増えることが見込まれるため、潜在成長力に寄与することが期待できるからです。

一時的な需要としては、建設・建築関連の企業に大きな追い風になるとみています。また、IR開業予定地周辺に土地を持つ企業やその土地を地盤に持つ企業にも買いが入りそうです。さまざまな業界に幅広い経済波及効果が見込めるため、銘柄選別は難しくなりますが、継続的に買いが入っている銘柄に乗ることも有効な手段ではないでしょうか。

<文:投資調査部 饗場大介>

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