はじめに

早くも動き出したコンソーシアム構想

10月下旬に大阪で、「ツーリズムEXPOジャパン2019」と「インバウンド・観光ビジネス総合展2019」「IRゲーミングEXPO2019」が同時開催されました。また、12月には北海道、1月には横浜で、「統合型リゾート産業展」が開催される予定となっています。

このようにIR関係者との交流が着々と進められており、誘致レースの下準備が進んでいる状況です。中でも、カジノ運営事業者と日本の企業とのコンソーシアム(共同体)には特に注目したいと考えています。

大阪のIRに参入を目指している米MGMリゾーツは、いち早くオリックス(証券コード:8591)とコンソーシアムを組みました。また、セガサミーホールディングス(6460)も、特に関東圏のIRにおいて、コンソーシアムでのトップシェアを狙っています。

千葉では、新日本建設(1879)やキッツ(6498)などが「MICE IR千葉」を設立し、IRに関する情報提供を提案していくようです。このように、一部の企業はすでに動き出しており、各地域のコンソーシアムの状況がわかり次第、株式市場でも物色される可能性があるとみています。

候補地によって効果にはバラツキも?

どの候補地が選ばれるかによって、経済効果にもバラツキが起きそうです。各候補地を、特徴から3つに分けて考えてみます。1つ目が“フロントランナー”とみられている大阪、2つ目が地方、3つ目が首都圏です。

大阪では、運営時の経済波及効果を年間7,600億円、雇用創出人数を8.8万人程度と試算しています。2025年の万国博覧会の開催までにIRを開業したいと、前傾姿勢を続けている状況です。

地方の候補地では、経済波及効果は年間約2,000億~3,000億円で、雇用創出人数は約2万人程度となる見通しとなります。特に地方の候補地では、観光による経済波及効果や税収増加が大きいことから誘致したいと考えていますが、カジノ部分での住民の賛同を得られるように努力している状況のようです。

首都圏では、現在横浜が試算を出していますが、その試算の振れ幅が大きく、経済波及効果を6,300億~1兆円、雇用創出人数を7.7万~12.7万人としています。経済合理性を考慮すれば、首都圏での開業は経済波及効果が大きいと考えられ、また資金の回収性にも優れているために、有力な候補となっているようです。

いくつかのカジノ事業者では、首都圏を優先することも発表しています。しかし、観光業の振興や雇用創出などの面で地方創生にも寄与することから、政治的な考慮がなされる可能性も十分に考えられます。さまざまなケースが想定されることから、目が離せない状況です。

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