はじめに
「3つの条件」に当てはまるなら、住宅ローンは借り換えの検討を
住宅ローンの繰上げ返済も検討されているようですが、そのためにはやはり、お金を貯めておかなくてはいけませんね。そのほか、住宅ローンの対策としては「借り換え」を検討されてもよいと思います。借り換えで効果が得られる条件の目安として、以下の3つがあります。
・借入残高が1000万円以上ある
・返済期間が10年以上残っている
・借り換え前後の金利差が1%以上ある
いまは借り換え手数料が安くなっている傾向があるので、金利差が0.5%ほどでも、総返済額が少なくなる場合があります。
相談者さんの場合、平成21年に住宅ローンを組んでいますから、その金利は3~4%ほどあったのではないでしょうか。今の住宅ローン金利は1%前後のものが多いですから、借り換えで総支払額を下げることが可能になると思います。
繰上げ返済もよいですが、まずはそこから検討してみてもいいですね。その上で、教育費とのバランスを見ながら繰上げ返済をすると、予定より早めの完済も実現できそうです。
よく「いくら貯まったら、またはいくら残して繰上げ返済をしたらいいの?」と聞かれますが、これはそのご家庭の状況により、一言では言い難いものです。お子さんの教育費がかかるご家庭では、その分をしっかり残して、使わないお金で繰上げ返済しましょうということになります。それも、生活防衛資金を残して、しばらく使わないお金で繰上げ返済できると、よりベターだと思います。
老後資金はコツコツ積み立て、40代になったら準備を
ところで、相談者さんご自身は30代後半、ご主人は40代。教育費や住宅ローンも気になりますが、ご自身の老後資金の準備もそろそろ気にした方がよいと思います。
老後資金は急に作れませんから、少しずつコツコツ積み立てることも検討しましょう。たくさんの金額を積み立てなくても構いません。現金の蓄えは教育費に使うにしろ、ある程度ありますから、投資信託などを積み立てて作るとよいと思います。
老後資金作りのために、国が非課税制度を2つ準備しています。私的年金制度の1つである「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と、非課税投資制度の「つみたてNISA」です。
iDeCoは、投資商品だけを取り扱っているわけではありませんが、商品の選び方次第では比較的リスクが高い運用をすることにもなり得るので、慎重に商品選びをしたほうがいいでしょう。一方つみたてNISAは、金融庁が定めた基準をクリアしたリスクの少ない商品がそろっているので、初心者の方は安心して始められます。また、つみたてNISAはいつでも引き出すことができますが、iDeCoは今のところ60歳まで引き出すことができないので、目的によって使い分ける必要があります。
ご自分たちはどういう制度なら安心して積み立てられるのか検討してみて、それぞれの制度のメリット、デメリットも理解したうえで、ぜひ取り組んでいただけるといいのではないかと思います。
相談者さんのご家庭の資産状況は決して悪い状況ではありませんが、まだ改善できるところがあり、よりよくすることができる状態です。今を楽しむことも大切ですが、その楽しみを将来まで継続できるよう、お金の使い方、持ち方を考えてみてください。
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。