はじめに

米欧株は2020年も期待できるか

2020年の金融市場はどう動くでしょうか。

米国において、民主党の大統領候補が誰になるなどの政治情勢が、米国の通商政策の“変数”となると思われます。米国の政治動向をめぐる市場参加者のシナリオ想定や思惑がより複雑化するため、2020年は米国政治をめぐる思惑が市場心理を揺るがす場面が多くなるかもしれません。

2019年の金融市場を振り返ると、年央の米中の緊張関係の高まりによって株式市場が下落した場面は、特にパフォーマンスが良かった米国株の押し目買いの機会となりました。2020年も米中貿易戦争で市場心理が揺らぐ場面は、同様にリスク資産に安値で投資する機会になりえるとみます。

ただ、2019年のように米欧株などの年間上昇率が20%以上に達するほど、株式市場の好パフォーマンスは期待できないでしょう。2020年の世界経済は安定成長となりますが、成長率の加速は期待できないためです。

日本株がバブルとは言えないワケ

最後に、読者の多くが興味を持たれている日本株市場について、筆者の見方を述べます。日経平均株価は9月初めには2万円台で停滞していましたが、12月には2万4,000円台まで大幅高となりました。先に説明したように、米欧株の主要株価指数が最高値を更新する中で、日本や新興国も含めて世界的な株高となったためです。

過去3ヵ月余りの日経平均株価の大幅高を受けて、バブルではないかとの見方が聞かれます。ただ、年初来で株価指数のパフォーマンスを地域別に比較すると、米欧よりも劣ったままで、米欧株を中心にみている筆者からすれば日本の株高はマイルドに映ります。

2020年も米国を中心に株高トレンドは崩れないとの筆者の想定が正しければ、バブルの領域まで日本株が上昇しているとは言えないでしょう。

ただ2020年の日本経済は、消費増税による緊縮財政政策の強化によって、ほぼゼロ成長に停滞すると予想します。オリンピック開催で東京を中心に雰囲気は明るくなるかもしれませんが、すでに最近の経済減速の余波で求人数がやや減少するなど、2018年まで好調だった労働市場の減速が始まっています。

2020年は海外からの追い風で株式市場は底堅いでしょうが、家計所得と個人消費の失速によって、景気回復の実感が多くの国民に広がることはないでしょう。経済政策の失敗によって、安倍政権の政治的な求心力がさらに低下し、2019年までは世界で最も安定していたと言える日本の政治情勢が不安定化する展開を筆者は懸念しています。

<文:シニアエコノミスト 村上尚己>