はじめに

子供の歌のミリオンセラーに共通する現象

子供の歌の大ヒットも、景気と関係があります。子供の歌はジワジワ人気が出るもので、発売日に予約して購入するアイドルグループの曲と違います。ここでは初動売上枚数ではなく、総売上枚数を見ます。

子供の歌のヒット

オリコンができた1960年代後半から数えて、100万枚以上売れた子供の歌は5曲しかありません。「黒ネコのタンゴ」(約223万枚、1969年)、「およげ!たいやきくん」(約453万枚、1975年)、「おどるポンポコリン」(約164万枚、1990年)、「だんご3兄弟」(約291万枚、1999年)、「慎吾ママのおはロック」(約111万枚、2000年)の5作品です。

「黒ネコのタンゴ」は高度成長の最後。「たいやきくん」は、第1次石油危機からの回復局面。「おどるポンポコリン」はバブル最盛期です。この曲、「何でもかんでもみんな踊りを踊っているよ」と踊らされた時期と一致します。

「だんご3兄弟」は1999年3月発売なので、同年1月の景気の谷から景気拡張局面に入った時期。「慎吾ママのおはロック」は2000年8月、拡張局面の終盤でした。

「パプリカ」はレコード大賞をとれるか

子供の歌のヒットからは、親の財布の緩み具合がわかります。子供はお金を持っていません。「のんびり」とした気分で子供が欲しがる作品を親が買ってあげられる余裕があるといえます。

逆に2007年12月発売の「崖の上のポニョ」の映画はヒットしましたが、CDは約38万枚しか売れませんでした。景気局面を見ると、2008年2月の第14循環の景気の山の直前の発売でした。CDの発売時期と景気がおかしくなっていく時期が重なってしまいました。親は財布のヒモを締めたのでしょう。

今年は久しぶりの子供の歌のヒットの可能性があるでしょう。第61回日本レコード大賞候補となる優秀作品賞10作品の中に、シンガー・ソングライター、米津玄師がプロデュースした「パプリカ」が入っています。「パプリカ」を歌う小中学生ユニット、Foorinが万一受賞となれば、史上最年少の受賞者です。

NHK紅白歌合戦への初出場も決まったFoorinは、5人組の小中学生ユニットで、幼稚園や小学校では「パプリカ・ダンス」がブームです。この歌は今年11月18日付でオリコン累積売上が11.7万枚、デジタルシングルの累積売上は46.5万枚であるといいます。万一、レコード大賞となれば、さらなる売上増の可能性があるでしょう。

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