はじめに

エドテックが提案する新しい学び方

一律一斉型の授業を続けると、新たに学ぶ時間を確保しにくいのが難点です。しかし、個々人の学習進度や能力・関心に応じた学習を進めることにより、学習時間を短縮できれば、新たな時間を生み出すことができます。

この新たな時間に、1人1人のワクワクする感覚を呼び覚まし、探究プロジェクト型学習を進めると同時に、文理を問わない教科横断的な学習も行い、創造的な思考を通じて課題や解決策を見出す循環的な学びの実現を目指しています。

エドテック活用学習プログラム

探究型プロジェクトでの学びは、従来の学校教育にはなかったものであり、実社会での体験が含まれるため、大学や企業、NPOなど地域社会の協力が欠かせません。学校は、これまでの“指南役”から“まとめ役”へと変化していくでしょう。

エドテックはまた、デジタル化による作業時間の短縮化や効率化に寄与することで、生徒指導や教師の働き方改革、学級運営などの面で大きな効果を発揮すると期待されています。教育の質的向上がもたらされると予想しています。

政府は、デジタル教科書やデジタル教材などの利用を進める観点から、ICTによる教育・学習環境の整備やICT人材の育成・登用を加速させていく姿勢です。

2019年12月には、2023年までに全国の小中学校すべての生徒に「1人1台」学習用コンピュータ配備や校内の通信ネットワーク整備を推進する政策(総事業費5,000億円)が発表されました。また、IT人材の不足を補うために、2020年4月からは、小学校でプログラミング教育が必修化される予定です。

エドテック関連の有望銘柄は?

民間ではすでにさまざまな取り組みが行われています。EduLabは英検協会などと共同開発した「英ナビ・スタディギア」など、英語学習を支援するインターネットサービスを幅広く提供。リクルート・ホールディングスが運営するウェブ学習サービス「スタディサプリ」は、大学受験予備校と同じ質の高い授業をネットで配信し、利用者は自宅のパソコンやスマートフォンで視聴することができます。

学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校は、ネットと通信制高校の制度を活用した新しいネット高校で、通学が難しいスポーツ選手なども在籍しています。LITALICOは、子供の認知特性に合わせた個別指導教室や、テクノロジーを活かしたものづくりによって創造力を育む教室のほか、発達障害ポータルサイトの運営も行います。

そのほか、内田洋行は電子黒板やプログラミング教育、大日本印刷は個別に最適化された学びの実現を目指す学習履歴サービスなどを提供しています。

エドテックは外国語教育や遠隔教育、特別支援教育などさまざまな場面での活用が期待されています。場所を選ばない学習方法の普及は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の1つ「質の高い教育をみんなに」の達成にも寄与するでしょう。

今後、公教育での情報端末の整備が進むにつれて、生徒向け教科学習コンテンツなどエドテック関連市場が拡大し、企業の活用も広がっていく見通しです。

<文:シニアストラテジスト 山田雪乃>

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