はじめに

目標を具体的な内容に落とし込む

次に、つみたてNISAを始めたいとのことですが、つみたてNISAはあくまで手段です。いつまでに何の資金として、つみたてNISAを始めたいのかが重要となります。今回は仮に、老後資金準備でつみたてNISAを活用したいと考えてみたいと思います。

最後に、将来の住宅購入はどうでしょうか。いつまでにどれくらいの金額の物件を購入したいのでしょうか。お子様が社会人になり、家を出る前に一緒に住むための家なのか、それとも、終の棲家としてどこかのタイミングで購入できればいいのか、などを考えないと、具体的な準備をすることができません。また、もし住宅ローンを組んで購入するとなると、奨学金が残っている間は、ローンの審査にも影響するので注意が必要です。順序としては、まずは奨学金の返済が先に来ます。

これらを考え、改めてご相談者の目標を整理してみましょう。

(1)万が一のために備える:生活費の半年分(約144万円)を準備する
(2)老後の資金準備:つみたてNISAを始める
(3)50歳までに終の棲家を確保する:奨学金返済・住宅購入

いかがでしょうか。当初の目標よりも、より具体的になってきました。

どれを先に達成したいか?優先順位を考える

それでは次に、それぞれの優先順位を考えてみましょう。

目標とする資金の性格から、下記の想定とします。実際の優先順位は人によって異なります。

(1)万が一のために備える:生活費の半年分(約144万円)を準備する
(2)50歳までに終の棲家を確保する:奨学金返済・住宅購入
(3)老後の資金準備:つみたてNISAを始める

(1)万が一のために備える:生活費の半年分(約144万円)を準備する
現在の貯蓄総額が90万円なので、あと54万円です。目標としては、これを一年で達成したいところなので、そうすると月額4.5万円の貯蓄が必要となります。5000円は家計の見直しから捻出しましょう。

(2)50歳までに終の棲家を確保する
住宅購入については、まず奨学金返済から考えましょう。残り7年ですが、できれば半分の期間で返し終わりたいところです。「1.生活費半年分」を備えた後は、月の貯蓄額の半分は奨学金の繰上げ返済に回しましょう。そうすると、今から3年半程度で完済できます。その頃は45、46歳なので、ローンを組んで住宅購入することも現実的に可能です。

(3)老後の資金準備:つみたてNISAを始める
つみたてNISAですが、少額でも長くやるメリットはありますが、現在の状況を考えると、あまり焦らず、まずは手元資金、そして奨学金の返済を終えてからでもよいかと思われます。住宅ローンを組むと同時に、将来の返済や老後資金のために始められてはいかがでしょうか。

家計の見直しは固定費から始める

このように、ある程度目標とそれに向けての見通しを立てた上で、家計の見直しを考えましょう。目標が具体的になり、目指すべき金額がはっきりすると、家計の中で見直せる箇所が出てきます。

家計の見直しは、まず固定費から始めましょう。家賃、水光熱費、通信費、保険料、ここからスタートです。水光熱費や通信費は、生活の仕方や、プランの変更でも金額を下げることができます。特に携帯などは、プランやキャリアを変更したり格安携帯にすることで、二人で5000円程度の削減が可能なケースもあります。保険料もムダなく適正かどうかの見直しが必要かもしれません。現在、そこまで極端に保険料が高いわけではないですが、もし学資目的以外で貯蓄性のある保険を活用していて保険料が高くなっているのであれば、安い保険料で充実した保障を準備できる掛け捨ての保険に切り替えるのも一つの手段です。

このように、固定費から見直せる箇所がないかを検討した上で、食費やお小遣いなどの見直しに入りましょう。先にお小遣いなどの削減から入ってしまうと、生活の楽しみがなくなってしまい、ストレスにも繋がってしまうので、将来のための貯蓄はもちろん重要ですが、その中でも今の生活を楽しむことも大切にしたいところです。

また、ボーナスの使い方も、被服費などまとめて購入すると大きい金額になりがちなので気をつけましょう。目標と優先順位の兼ね合いにもなりますが、先に貯蓄額を決めてから、残った範囲内で楽しむようにしましょう。


まずは目標を整理し、優先順位を付けて、焦らずひとつひとつ改善していきましょう。今の生活も、健康な体があってこそです。健康管理をしっかりと行い、ストレスを抱えすぎない範囲で理想の生活を目指しましょう。

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