はじめに

稼げるのは「上位3%」

2018年ごろまでネット上で“流行”していた手口は、仮想通貨を使った「ICO」。門外漢にはちょっとややこしい投資手段ですが、一般的には企業などが出資を募り、その対価として仮想通貨(今の名称は暗号通貨)を発行する、といった仕組みを取っています。

豊川弁護士によると、仮想通貨ブームを背景に17~18年ごろに盛り上がり、年間800件ほどのICO案件が世に出たとみられます。コインを発行する企業の実態が不透明なことも多く、今では一般的に「詐欺が横行している状態」とまでメディアから指摘される状況にあります。加えて相次ぐ仮想通貨絡みの事件、法規制強化の影響でICOを使った投資勧誘は以前より下火になってきたそうですが、「今でも手掛けている業者はいる」(豊川弁護士)とのこと。

他にも、副業系の情報商材で古典的なのが「転売のノウハウ」。「10年ごろには店舗で仕入れた商品を転売する手法が流行ったが、その後はAmazonで買った物をヤフオクで売るといったノウハウが流行している」(豊川弁護士)。

もちろん、転売行為自体は明確に規制されている商品をのぞけば違法ではなく、サラリーマンの典型的な副業の1つです。ただ、豊川弁護士は「(こうした情報商材で指南される)転売の話自体は全くの嘘ではないものの、結局は上位3%くらいの人しか稼げず、後は挫折してしまう場合が多いようだ」とみています。

##「共通する手口」とは

こうしたトラブルのタネになる情報商材は、「儲け話の目新しいネタ」がたびたび登場するため、一般人には気付きにくいのも事実です。被害に遭わないため豊川弁護士が強調するのは、むしろ情報商材の勧誘に使われている「共通した手口」を知ることです。

「実は、これらのやり口は昔からやり方が蓄積され、あまり変わっていないもの。米国で提唱されたある(オンラインで商品を売る手法の)テンプレートがずっと使われ続けている」(豊川弁護士)。具体的はまず、業者が儲け話のきっかけとなるメールを大人数にばらまきます。そこには動画のリンクが張られていて、「情報商材を買えばいかに確実に儲かるか」が、“成功者の体験談”を元に説明されるのだそうです。

豊川弁護士によると、この「動画勧誘」はどの情報商材でもたいてい同じか似たパターンを取っています。全4回に分かれており、1話目は「説明担当者の自己紹介」、2話目は「その人物の過去に起きた不幸な出来事、沈んでいた時期の話」。3話目でようやく「商材のノウハウ説明、それによって自分がどううまくいったのか」、4話目の「商材の特典などの紹介」で完結。最後に、情報商材の購入ボタンがメールに付記されます。どうも、説得力を持たせるためにこうした一種の“起承転結”の形を取っているのだそうです。

全4回の動画メールは一挙に送られるわけでなく、豊川弁護士によると、1週間ほどかけて徐々に送られるのが一般的だとか。「『こんなの騙されないよ』と思えそうな内容でも、時間を掛けることで『この人(動画の説明者)はスゴイ!』と被害者は思い込み、抜け出せなくなる。動画は恐らく、対面の次くらいにセールスに向いている手法ではないか」。

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