はじめに
“騙されやすい”リスト
セミナーなどリアルなイベントで勧誘するより、こうしたWeb動画を使った手法は低コストで大量に送り付けられる利点もあり、怪しい情報商材に頻繁に使われる傾向にあります。では、業者側はそもそもターゲットのメールアドレスを、どうやって調べ上げているのでしょうか。
豊川弁護士は「騙されやすい人のメールアドレスのリストが既に存在し、情報商材業者の間で回されている」と推測しています。アドレスの取得手段の典型例として挙げられるのが、儲け話などを紹介している「副業系ブログ」。こうしたサイト上でブロガーが「メルアドを登録すれば、儲けの“虎の巻”のpdfファイルを無料であげます」などとうたい、読者から大量のメルアドを取得。これらをリスト化したものが出回っている、と豊川弁護士はみています。
豊川弁護士によると、過去には1件につき30万円くらいのさまざまな情報商材を、1人で30件も騙されて買った例もあるなど、同じ人が多重の被害を受けるケースが後を絶ちません。後編では、なぜ「安易であり得なさそうな儲け話」に飛びついてしまう人の心理、そして防ぐための心構えについて解説します。
【プロフィール】
豊川祐行(とよかわ・ひろゆき)
あまた法律事務所代表弁護士。2016年に弁護士登録。都内の法律事務所勤務を経て現職。専門は債務問題など民事案件。同事務所は集団訴訟プラットフォーム「MatoMa」を運営。