はじめに
社会適応ではなく社会活用を目指す
一方で、冠地さんは、とにかく他人に合わせたコミュニケーションをすることを目指しているわけではありません。
発達障害の人は他人と違ったことを思いつき、他人とは違った行動をするからこそ、時に世の中を変革するような功績も生み出すことができるような、そんな可能性も持っています。
冠地さんが考えているのは社会適応ではなく社会活用であり、「なりたい自分になるために、自分らしさで感情表現を試した時点で大成功!」と考えているとのこと。
以上は筆者が冠地さんからSNSのメッセージのやりとりで聞いたことですが、実際、冠地さんのSNSの発言ぶりを見ても、「私も皆さんを応援するから皆さんも私を応援してください!」とグイグイ来るので少々圧を感じるほどで、決して無難に他人に合わせようなどと思っていないことがわかります。
そういった自己主張の強さが、冠地さんが「イイトコサガシ」の活動を広げることができてきた原動力になっているのであって、やはり発達障害とは、ハンデであるだけではなく、強みでもあるのだと、まざまざと感じさせてくれるのが、冠地さんという人なのです。
2、3人で気軽に試せるワークショップもたくさん入っていますし、当事者も保護者も支援者も、読むだけで視点が広がりそうなこの本には、現代の生きづらさを打開する、いろいろなヒントが詰まっているのです。