はじめに
サスティナブル、持続可能性への配慮という流れも
昨年の9月、「国連気候アクション・サミット2019」で、スウェーデン人の16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんが、環境問題への対応に消極的な政治家達を厳しく批判し、その姿を日本のマスメディアでも大きく取り上げていました。
近年、マーケティングにおいても、「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標))」「サスティナブル」といったキーワードが目に付くようになりました。欧州の若者を中心にSNSを通じて、大量生産による大量廃棄をもたらすファストファッションをボイコットするような動きも見られます。
これまでは、経営に余裕のある企業や経済的に余裕のある個人ほど、環境問題に対する意識が高く、取り組みも進んでいる傾向がありました。しかし、近年、日本では深刻な自然災害が相次いだことで、今では国民全体で環境問題に対する意識が高まっているのではないでしょうか。
2020年の消費について、(1)東京オリンピック・パラリンピック、(2)デジタル化、(3)暮らしの構造変化という3つのポイントをあげて考えてみましたが、実は、これらのベースには「サスティナブル」という共通点があります。
オリンピック・パラリンピックは、言うまでもなく世界最大規模のイベントで、その影響力は世界に広く及びますので、環境や経済、社会面など幅広い領域において、持続可能性に配慮した大会運営が求められます。
また、消費のデジタル化として見られるサブスクリプションサービスは、消費者の間で商品を循環させることで、無駄な廃棄を減らし、持続可能な社会づくりにつながります。
さらに、単身世帯の増加による消費のコンパクト化は、無駄な消費を減らす合理化とも言えるでしょう。そして、より若い世代の共働き世帯、あるいは子育て世帯では、環境問題への意識が高まっているのではないでしょうか。
消費行動を捉えるには、目の前に起きていること、すぐ先の未来に控えていることだけではなく、その背景にある暮らし方や価値観の変化という大きな流れもあわせて捉える必要があるでしょう。