はじめに
個人が気をつけるべきこと
ただし、今後は私たち個人も新手の新型コロナウイルス詐欺に気をつけなくてはなりません。では、どんなことが想定されるのでしょうか。今回は、三つあげておきます。
一つ目は、新型コロナウイルスの感染者の増加とともに、マスクや除菌薬の不足などが叫ばれていますので、詐欺師らはさも商品の在庫があるように装った偽通販サイトを数多く立ち上げることでしょう。もし、私たちがこうした偽サイトで申し込みをしてお金を払ってしまうと、当然ですが商品は送られてきません。またクレジットカード番号を入力した場合には、その情報が抜き取られて、闇のサイトで売買されることもあります。すでにマスクの販売を装った偽通販サイトも出てきているようですので、今後もこうした事象は増えるものと思われます。
次に注意したいのは、今回のメールを見てもわかるように、保健所を騙るケースです。特に心配されるのは、保健所を騙ったアポ電(アポイント電話)です。アポ電とは詐欺を実行する前にかける情報収集の電話のことですが、もし保健所の人から高齢者宅に電話があり「お熱や咳は、ありませんか?」と体調面を聞きながら「お一人暮らしですか?」と尋ねられれば、家族状況を容易に答えてしまうことでしょう。さらに「もし病気にかかったときの治療費に不安はありませんか?」と言って、貯金額を聞きだす可能性も充分に考えられます。
三つ目は、未だに被害の多いオレオレ詐欺への便乗です。これまでも本物の息子との声の違和感を誤魔化すために「風邪をひいた」と咳をしてきたり、「インフルエンザかもしれないから、これから検査を受ける」と病院にいるフリをして電話をかけることがありました。今後、感染者が増えてくれば、新型肺炎を組み合わせてくることが、多分に考えられます。入口は新型肺炎ですが、詐欺のストーリーはこれまでと同じで「携帯電話(スマホ)が入ったカバンを、病院の待合室で盗まれた」となり、「治療代を立て替えてほしい」「カバンに会社の小切手が入っていたので、今日中にお金を工面しなければならない」と言ってくることでしょう。特に、今回の場合は「まだ陽性か陰性の結果が出ていないので、お母さんにうつすわけにはいないので」という理由をつけて、友達や会社の同僚を装った人物が金を取りに行かせやすくなります。
詐欺師らは私が今、想定した手口を覆すような方法を考え出す可能性もありますので、新型肺炎の感染予防とともに、これに便乗した詐欺への予想と警戒心をもって、個人も会社も騙されないための対策を立ててほしいと思います。