はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する内藤忍氏がお答えします。
36歳女、独身です。フリーランスで確定申告も自分で行っています。生前贈与で150万円の贈与金を受け取り、これを元本に資産運用をしたいと思っています。収入が不安定なため、毎月一定金額を積み立てることは難しいのですが、ある程度まとまった金額になったら運用に追加していきたいと思っています。
現在持っているのは外貨預金でユーロ(30万円程度)と豪ドル(80万円程度)、定期預金が数百万円です。投資信託も検討していますが、どのような配分で運用を行ったらよいのか、どんな商品がおすすめなのか。アドバイスお願いいたします。
(30代後半 独身 女性)
内藤: もし、ここにダイエットしたい方がいたとしたら、その人が最初にやるべきことはカロリーコントロールではなく、体重測定です。まず現状の自分を知らなければ、これからどれくらい体重を落とせばよいのかがわかりません。
現状がわかったら、次にやることは何キロまで体重を減らしたいかの目標設定。そして、その上で目標を達成するために最適な方法を考えればよいのです。
資産運用もダイエットとまったく同じアプローチで進めてください。
つまり、「1.現状把握」「2.目標設定」「3.運用方法の決定と実践」という3つのステップです。
まずは現状把握と目標設定
まず現状の資産配分をみると、外貨のバランスが悪いことに気付きます。全体の資産に占めるユーロや豪ドルの比率がどれくらいなのかを計算してみましょう。
資産運用に使うべきお金は贈与で得た150万円だけではなく、保有している資産すべてをまとめて現状把握すべきです。これからまだまだ資産運用を積極的に進められる世代ですから、外貨の合計金額が資産全体の40%くらいあっても問題ないと思います。
次にやるべきことは、目標金額の設定です。
やみくもに資産を増やそうとするのではなく、「いつまでにいくら」という数値目標が設定できれば、無理をして資産運用する必要がなくなります。
目標金額の設定は簡単ではありませんが、例えば年金生活に入る65歳までに2,000万円というように、時期と金額を明確にする。もし目標が変わったら、その時に修正すればよいのです。
ちなみに資産運用に性別は関係ありません。現状と目標によって、その人にベストの方法が決まってくるのです。
どのように実践するか
さて、現状把握と目標設定ができたら、次は実践方法の検討です。
今持っている資産もこれから積み立てる資産も同じ方法で運用していきます。私の著書『貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい』でもくわしく説明しましたが、金融資産が1,000万円になるくらいまでおすすめしたいのは低コストのインデックスファンドを使った分散投資です。
外貨預金だけではなく、外国株式や海外のREITのインデックスファンドもありますので、それらをバランスよく組み合わせて投資していきましょう。外貨の比率が高いとリスクが大きくなりますし、株式の比率が高くなってもリスクの取り過ぎになりかねません。
外貨は資産全体の40%、株式は日本と海外を合わせて50%以下に抑えるようにしておきましょう。短期的な価格の変動には一喜一憂せず、この方法でしばらく続けてみてください。
並行して本を読んだり、セミナーに出たりすることで知識を身につけ、自身の資産運用法を徐々にレベルアップしていきましょう。