日本株市場における新型コロナウイルスによる新型肺炎(COVID-19)への警戒感は、相変わらず根強いものがあります。

“世界の工場”である中国で感染者が拡大しているといった悲観的な報道がされると、サプライチェーンを揺るがしかねない事態として、世界経済の伸び悩みを引き起こすことが懸念され、そのたびに材料視されています。

反面、新型肺炎の治療薬を発見したとか、感染拡大に減速感が見えたなどの前向きな内容が伝わると、警戒感が和らぎ、投資家心理が強気に傾く場面もみられます。このような相場環境にあって、個人投資家はどのような投資スタンスで臨めば良いのでしょうか。


世界景気の“物差し”が示唆するもの

足元の株式市場において、新型肺炎に関する話題は大きな乱高下要因となっています。しかし、投資をするうえでは、足元の材料に振り回されるのではなく、大局的な見地に立って、産業動向や世界景気について見ることが肝要です。

経済協力開発機構(OECD)が2月10日に発表した、2019年12月のOECD全体の景気先行指数(CLI)は99.43。前月との差がプラスの状態を4ヵ月連続で保っています。

景気先行指数

CLIはGDP(国内総生産)など連動しやすい経済指標に基づいて作成する指数で、投資家が世界景気の転換点を探る“物差し”として利用しています。100を超えると景気拡大局面、下回ると景気後退局面とされています。

足元は100を下回っており、景気後退局面の域ではあります。しかし注目すべきは、前月差でプラスを維持できている点です。これは景気の上向き・底入れを示唆するものと考えられます。

“産業のコメ”が暗示する景気の先行き

全体景気の先行きを占ううえでは、あらゆる電子機器に搭載され、生活に欠かせないことから“産業のコメ”とも称される半導体の動向が参考になります。

世界半導体市場統計(WSTS)によると、2018年の世界半導体市場は前年比13.7%増と高成長となりました。しかし、2018年後半から年末にかけては、米中貿易摩擦などの影響によって世界経済の先行きへの不透明感が強まり、市況は急激に悪化しました。

昨年末発表の最新のWSTSでは、2019年もこの流れを引き継ぎ、同12.8%減の4,089億ドルと2ケタのマイナスになると予想されています。市場への影響力が大きいスマートフォンなど実需面での低迷に加え、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題などに伴う先行き不透明感が強く、急回復が期待できないためです。

前年比12.8%という大幅なマイナスは、リーマン・ショック翌年の2009年(同9%)を超えて、ITバブル崩壊直後に当たる2001年の同32%減以来の水準になります。

<写真:ロイター/アフロ>