はじめに

「資産になる立地」の見分け方

1.交通の利便性
複数の沿線・駅が利用できて通勤・通学などに便利。都心までの所要時間が短いところ

2.暮らしの選択肢の豊富さ
日常生活に欠かせないスーパーや銀行などの生活施設だけでなく、高度医療の病院、高水準の教育機関、劇場、美術館、人気レストランなど、より生活を豊かにする遊び・学び・健康・芸術機能が充実しているところ

3.閑静な住環境の維持
住宅地としての閑静さや街並み・景観の美しさが時を経ても保たれているところ

4.暮らしの安全・安心
地震や水害などの自然災害や公害、犯罪などが少なく、地域住民のコミュニティが良好な安全・安心に暮らせるところ

(『資産になる「いい家」の見つけ方・買い方』24~25ページより)

また、不動産市場では、駅からの徒歩時間を指す「狭域立地」よりも沿線、駅、街を指す「広域立地」が重視されます。最寄りの駅から少々遠くても、人気のある街の家のほうが資産価値を維持しやすいのです。

建物の「性能」を見分ける

家の資産価値は立地にもっとも影響されることがわかりましたが、建物を無視していいわけではありません。

建物には「性能」の違いがあります。「性能」とは建物の品質を示すもので、国が2000年に始めた住宅性能表示制度によって一般に知られるようになってきました。この制度は、建物を耐久性や省エネ性、維持・管理のしやすさなど10の項目で評価するものです。

大久保さんはそのなかでも、とりわけ「寿命」と「可変性」に関わる性能が資産価値と結びついている、と指摘しています。

建物の寿命は耐久性、耐震性で決まります。住宅性能表示制度の開始以降に建てられたマンションは、「コンクリートの劣化対策等級レベル」で最高ランクを獲得している物件が7割を超えています。

その寿命は90年程度とされていますが、きちんとメンテナンスをして大事に使えば150年(!)くらいは持つそうです。それだけの長期間に渡って人が住める建物なら、資産価値が高いのもうなずけますね。

家選びの際には、その家の住宅性能表示が参考になります。ただし評価書の取得は任意なので、どの家にも住宅性能表示があるわけではないことに留意しましょう。評価書を取得できるのは、設計後と建築後の2回検査を受けた家で、2000年以降に建てられた家に限ります。

また、「可変性」が高い家は、時代や家族構成の変化に応じて間取りや設備を変えることができるので、資産価値が維持されやすいといえます。一般的に、リフォームやリノベーションの自由度は木造住宅のほうが高くなりますが、鉄筋コンクリート造の一戸建てやマンションでも、「スケルトン・インフィル(SI)住宅」であれば十分に対応可能です。

SI住宅とは構造躯体部分(S)と内装部分(I)が分離された構造を持つ住宅のことです。室内に構造壁がなく電気配線や給排水管の入れ替えもしやすくなっていて、家を、マッチ箱の内側だけを入れ替えるようにリノベーションできます。

※SI分離のしくみ(185ページより)

ちなみに、2009年から認定が始まった「長期優良住宅」は、SI住宅の高い可変性を含む最高水準の性能を持つ建物です。ただし建築コストも高くつくため、普及率は一戸建てで6%、マンションでは1%にとどまっているのが現状です。

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