はじめに
1月17日に2万4,115円の高値をつけた日経平均株価。1月末から世界的に流行している新型コロナウイルスの影響を受け、2月初旬に2万3,000円を割り込む場面もありましたが、大きく崩れることなく2万3,000円台で推移していました。
しかし2月24日は世界的な株安となり、3連休明けの25日の日本市場も一時1,000円安と大幅下落。翌26日も179円安となり、2日間で約960円も下落しました。これからの株価はどう動いていくのでしょうか。新型コロナウイルスの影響と現在の日本が置かれている景気情勢からみていこうと思います。
頼みの綱のインバウンドを直撃
新型コロナウイルスの影響としてまず取りざたされているのは、インバウンドへのマイナスです。2月19日に日本政府観光局が発表した「訪日外客数」は、2020年1月の訪日外国人数が4ヵ月連続の前年同月比マイナスであったことがわかりました。
減少の大きな要因は、日韓関係の悪化により全体の30%を占めていた訪日韓国人の数が半減していることです。全体の30%を占める中国人観光客数が前年同月比で20%を超える伸びをみせたほか、香港、マレーシア、フィリピンなどの地域は同40%を超える伸びとなったものの、こうしたプラス影響を打ち消しました。
今後についても、新型コロナウイルスの影響により、中国からの航空便が大幅に減少しています。アジア各国からの日本への渡航制限も相次ぎ、2月以降の訪日外国人数の減少も免れない状態となっています。
仮に2月の中国人観光客が半減となると、前年同月比約マイナス35万人となります。昨年の中国人観光客1人当たりの消費額は約21万円であるため、これだけで約730億円の減収となります。他国からの訪日観光客の減少も考えられるため、経済的打撃はより大きいものとなるでしょう。
日本政府は2020年の訪日外国人の年間目標値を4,000万人としていますが、目標の達成はおろか、前年比マイナス成長の危機に瀕しています。今回の新型コロナウイルスによって、訪日外国人の大半をアジア圏が占めていることの問題点が浮き彫りとなりました。
弱り目に祟り目の国内消費
インバウンド減少の煽りを受け、消費の減速がみえ始めています。
たとえば、消費増税後に減速が目立った百貨店業界には、引き続き逆風が続いています。日本百貨店協会によれば、2月前半の売上高は前年同月比15%程度の減少で推移しており、訪日外国人の売上高に至っては7割の減少となったもようです。
実際に筆者が休日に百貨店に立ち寄ったところ、普段は見られる外国人の姿がほとんど見られず、店頭で手持ち無沙汰にしている店員が散見されました。大都市圏の市街地で閑散とした光景が多く目撃されているほか、鉄道による長距離移動も顕著に減少しているようです。
こうした状況から、今後、その他の経済統計にもマイナス影響が出てくることが予想されます。
<写真:ロイター/アフロ>