はじめに

隣国での感染拡大が深刻なワケ

欧州連合(EU)域内では、イタリア景気の下振れ不安も台頭しています。というのも、感染の広がっているのが、主として経済力の強い北部の地域だからです。

25日午後6時の段階では国内で322人の感染者が確認されていますが、そのうち240人と最も多いロンバルディア州の州都がミラノです。化学、繊維、自動車などの産業の拠点が集中し、「“メード・イン・イタリア”の心臓部」(フランスの「ル・フィガロ」紙)として同国の輸出を支えています。

パリと並ぶ「モードの街」としても知られ、世界中から多くのデザイナーやバイヤーがこの地に引き寄せられています。見本市なども頻繁に開かれており、普段はバー、ディスコ、パブなども多くの外国人客などで賑わっています。

ミラノは国全体の国内総生産(GDP)の実に10%近くを叩き出しています。感染拡大によって、自動車生産はどうなるのでしょうか。また、現在では街も人やクルマの通りが少なく、ほとんどのバーが閉鎖された状態です。

イタリア停滞のインパクトは?

同市に本拠を構えるイタリア最大手の銀行、ウニクレディトは1万6,000人の従業員に対してテレワーク勤務を求め、オフィスで働いているのは現在、4分の1の4,000人にとどまっています。こうした動きもあって、街全体が静寂に覆われているといいます。

「ル・フィガロ」紙によれば、ある金融機関は同国の今年第1四半期(1~3月)のGDPについて、前期比0.3~0.9%減と予測。続く第2四半期(4~6月)には、最悪だと同1.5%減まで落ち込むシナリオを想定しています。

2四半期連続のマイナスとなれば、定義上は「景気後退」を意味します。イタリアはEU27ヵ国の中で、ドイツ、フランスに次ぐ3番目の経済大国。それだけに、同国景気の停滞は域内全体の基盤を揺るがしかねません。

観光バス
パリ市内を走る観光バスは乗客もまばら

この原稿を執筆しているのは、フランスから日本への航空機の機内。通常に比べて空席が多い印象です。コロナウイルスの脅威が世界全体を大きく揺れ動かしているのを実感させられます。

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