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コロナショックの世界株安は「ミスプライス」である可能性が高い理由

株価急落の真因を探る

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前回の2月8日配信記事では、「新型コロナウイルスが市場に与える影響もピークアウトが近いのではないか」と述べました。しかし、とんだ見当違いでした。

ピークアウトが近いと考えた理由は、感染が拡大する中、米国株が高値を目指す値動きとなっていたからです。実際、S&P500はその後も上昇を続け、2月第3週の半ばには史上最高値を更新しています。ところがその直後から急に崩れ始め、足元の大暴落へとつながりました。

2月第4週のNYダウ平均は3,600ドル近くも急落。史上最大の下げ幅を記録しました。前の週には史上最高値、翌週には史上最大の下げ幅と、あまりに展開が急です。

相場の予想は難しいと改めて思いますが、その一方で今回の大幅な株安も過去の急落局面と共通する動きを指摘することができます。それは、あることをきっかけに、ひとたび相場が大きく崩れると、そこから先はそもそも下げの要因となったこととは関係なしに「株価そのもの」が材料になる点です。


欧州総崩れで株価下落のスパイラルに

下がるから売る、売るから下がるという悪循環に陥ってしまう――。こうした足元のような状況を、著名ヘッジファンド創始者のジョージ・ソロス氏は「リフレキシビティ」と名付けました。

前述の通り、S&P500が史上最高値をつけたのは2月第3週の半ばでした。そこまで堅調だったのに、いきなりその週末から崩れ、翌週には記録的な大暴落となったのです。

何がきっかけだったのでしょうか。イタリアでの感染者急拡大で、イタリア株をはじめとする欧州株が総崩れになったことです。それが米国にも波及しました。

その後、米疾病対策センター(CDC)が、新型コロナウイルスについて「国内のコミュニティーで感染が広がるのは時間の問題だ」と強く警告したり、実際に米国内で感染者が出たりしました。

米国株がそれまでの堅調さから一転、大暴落に転じたのは、コロナウイルスの感染拡大は中国やアジアの「対岸の火事」とみていたら、自分の足元にも脅威が迫ってきた不安の高まり……という解説がありますが、そんなことがあるでしょうか。

世界株安の本当の原因とは?

株式市場は「半年から1年先の景気や業績を映す鏡」と言われます。新型ウイルスの問題が表面化した当初から、これだけグローバル化が進んだ現代では世界的な感染拡大は避けられないと言われていました。株式市場は世界的な感染拡大は織り込んでいたでしょう。今さら「世界的感染拡大を懸念」というのは、違和感があります。

では、何が足元の株安の原因でしょうか。もちろん、根底には新型ウイルス感染拡大による経済への打撃を警戒があるのは間違いないところでしょう。ただし、これだけ連鎖的な株安が続くのは、もっと別なメカニズムによるものです。

それが、前述した「株価そのもの」の動きです。株価が大きく下がると、それだけで売らなければならない運用ルールが多数あります。

ロスカットの売り、CTA(商品投資顧問業者)のトレンドフォローの売り、リスク・パリティ(ポートフォリオの各資産のリスクを均等にする投資手法)のポジション調整、アルゴリズムのプログラム売りなど、文字通り、機械による「機械的な」売りが市場の下げを複合的に増幅させているのです。

これは2015年のチャイナショックの時も、2018年10月初頭からクリスマスにかけての急落時にも見られた現象です。

<写真:ロイター/アフロ>

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