はじめに
民泊世界最大手であるAirbnb(エアビーアンドビー)が、人材派遣大手のパソナと事業提携を始めるそうです。
都内では副業として民泊を行う人が増えています。街中でも大きなスーツケースを抱え、スマホの地図を見ながら駅から住宅地に向かう旅行者の姿を見ることが増えてきました。
民泊を利用する訪日外国人数が年間370万人に達するなか、民泊の成長のためには人材派遣業の力が必要だと言われています。それはなぜなのでしょうか?
民泊はいよいよ1兆円産業に
民泊仲介の世界最大手エアビーアンドビーによると、2016年の訪日客のうち民泊を利用した人が370万人に達したそうです。民泊がもたらした経済効果は9,200億円、早ければ今年中にも1兆円産業に到達しそうな勢いです。
エアビーアンドビーの調査では、部屋を貸し出す標準的なホストは年間89泊貸し出し、売上は100万円の副収入になっているそうです。
このように副業として見ても魅力的な民泊ですが、住民とのトラブルも少なくありません。全国的にまだまだ業法や条例と折り合いがついていない部分が多々あるなかで、実需が先行し、一大産業になってしまったというわけです。
後述するように、これは仕方ない部分もあるのですが、宿泊客がマンションや近隣住民のルールを守らない、深夜に大声で騒いだり、ゴミを部屋の前に棄てて立ち去ったり……ということが頻繁に起こっているため、貸し出された部屋の近隣に住む人々にとっては頭の痛い問題も生み出しています。
結果として部屋を貸す側にとっても収入増以上の手間がかかってしまうわけですが、そこにはまた別のビジネスチャンスが潜んでいるのです。
ある不動産会社社長との話
実例でお話ししましょう。
先日、私が懇意にしている不動産会社の社長さんから「民泊投資をしないか?」という誘いを受けました。都心で好立地の中古ワンルームマンションを購入し、民泊に回してお金を稼ぐことが流行しているので、私にもやってみないか、というお話です。
山手線からさほど遠くないメトロや私鉄の駅近ワンルームであれば、1,000万円前後で購入できる物件があります。そのなかで管理組合に届け出れば民泊ができる物件を探すのです。
これまでの中古ワンルームマンション経営であれば、学生やサラリーマンに家賃月8万円程度で貸し出すのが普通のやり方。年間96万円の家賃から、共益費や不動産管理会社への手数料、修繕費などを差し引くと80万円程度の収入になります。
マンションを1,000万円で購入し、年80万円の利益であれば利回りは8%です。株に投資するより儲けは少ないかもしれませんが、安定的に高利回りが確保できるのが中古マンション投資の魅力です。
ところが、その社長さんによると、最近は民泊で貸し出した方がはるかに利回りが高いというのです。
民泊投資ビジネスの懸念点
もちろんマンションの立地にもよりますが、民泊需要が多い場所、たとえば新宿や上野、浅草の近くの中古マンションであれば、民泊の回転もよさそうです。社長さんの話では、同じように民泊を始めた投資家が「一泊1万円で貸し出して、悪い月でも14泊ぐらいは確保できる」という話でした。
一応、民泊の年間営業日数の上限は180日ですので、この「悪い月でも14泊」という数字は、すでにほぼ法律の上限日数に達しています。商売としては入れ食い状態なわけです。年間180万円の収入が出るということから、これまでのマンション経営の倍の利益が上がる状態が簡単にイメージできます。
しかし、問題があります。
「予約や掃除の手間はどうするんですか?」と、民泊をビジネスにした場合に起きそうな問題について質問してみました。
家の近所に民泊をしている部屋があるのでわかるのですが、宿泊客が話す言語は英語、中国語、韓国語だけではすみません。聞いたことがないようなヨーロッパの言葉や、アジアでも東南アジア系、インド系からアラブ系までさまざまです。どのように予約対応をするのか、と考えると、少し大変そうです。
しかし、社長は「心配いらない」と言います。