全土が封鎖されたイタリアの日常生活

日常生活の中で最も大きな影響があるのは、やはり移動制限です。外出できるのは仕事や通院、食料品の調達など必要がある場合に限られており、外出時には名前や住所、外出目的などを記入した自己申告書を携帯することが義務化されました。

具体的にどこまでが「必要な外出」となるかはコントロールする警察官の裁量による部分もあるので情報が錯綜していますが、一例として健康維持のための散歩やジョギング、犬の散歩、近隣に住む親族を訪問すること、車の修理のための外出などは認められています。

ただ、いずれも人同士が近づきすぎないこと、集団で外出しないこと、居住地からあまり離れすぎないことが条件になっています。外出中、カラビニエリ(軍警察)に呼び止められた際に正当な理由を説明できないと、刑罰の対象となります。

外出時はこの自己申告書を携帯する必要がある外出時はこの自己申告書を携帯する必要がある

食料品や日用品の調達に関しては、現段階ではそれほど大きな混乱は起きていません。イタリア全土の封鎖が決定された翌日は、流通が止まることを恐れてスーパーに人々が殺到したこともありましたが、一時的なもので現在は解消されています。マスクなどもともとイタリアであまり流通していないものは相変わらず品薄ですが、それ以外は食品、日用品とも問題なく手に入ります。

品薄と感じる商品はほとんどなく、日常生活で困ることはない品薄と感じる商品はほとんどなく、日常生活で困ることはない

ただ、スーパーでは封鎖以降、店内が混雑しないよう入場制限が設けられるようになりました。店から1人出たら1人入る、といった感じでかなり厳格に運用されているため、入店するまでに少し行列に並ぶこともあります。とはいえよほど混み合う時間帯でなければ10〜20分程度の行列なので、少し不便といった程度です。

ここでは地下駐車場を区切って行列スペースにしているここでは地下駐車場を区切って行列スペースにしている

あまり気軽に外出できないので、直接会わないでできるコミュニケーションも生まれています。12日にはインターネットを通して呼びかけが行われ、市民が一斉にベランダに出て歌ったり楽器を鳴らしたりするフラッシュモブが行われました。事前に打ち合わせたものではないためメロディーがバラバラだったり、楽器ではなく鍋を鳴らす人もいたりするなど自由な雰囲気で、イタリアにとっては久しぶりに明るい出来事となりました。

また学校が全て休校になっているため、小さな子供たちはチャットアプリの保護者のグループを利用してメッセージを送り合うという動きもあります。久しぶりにクラスメートの声を聞いたり近況を報告し合ったりするのは、近くの公園で遊ぶことが難しい子どもたちにとって貴重な楽しみのひとつになっています。

このほか、自宅の窓に「Andrà tutto bene(すべてうまくいくよ)」と書いた布を掲げる家庭も増え、この難しい局面を全員で乗り越えようとする雰囲気も生まれています(本記事のトップ画像参照)。この「andratuttobene」という言葉はハッシュタグにもなり、SNSでも拡散されています。

ここ数日はイタリアだけでなく、スペインの新型コロナウイルス感染者が増えているというニュースも入っており、世界的な感染拡大が収束するまでにはまだしばらく時間がかかるでしょう。各国で取り組んでいる封鎖政策により「すべてうまくいく」かどうか、まさに今がその瀬戸際といえそうです。