はじめに

再発も仲間がいたから乗り越えられた

その後、婦人科系のがんをテーマにした「HIRAKUの会」もスタート。こちらは、胸を開いて話しあおう、ということから、この名前をつけました。古村さんは2017年にがんが骨盤内に再発しましたが、その治療を乗り越えられたのも、こうした集まりで出会った仲間たちの支えがあったからだと話します。

「どちらの会も、『思いのたけはこの場で出し切って、聞いた話はここだけに置いて帰ろう』がモットー。会で聞いた個人の情報は、外では口外しない決まりになっているからこそ、安心して話し合えるし、会のあとは皆笑顔になって帰っていくんです」と話す古村さん。閉じこもりがちな人も多いからこそ、あえて銀座などの喫茶店のレンタルスペースで行なっています。

それでも、東京までなかなか出て来られない、という声が届いていたなか、新型コロナウイルスの騒動が、外出の困難さに拍車をかけます。医者から人ごみに出掛けることを止められる人もいて、ネット上で交流できる場所の確保の必要性を切実に感じるようになりました。

「これまでもネット上の交流会も行なっていたのですが、素人が作ったサイトなので、どうしてもセキュリティに問題がありました。話し合った内容が流出することだけは絶対に避けたいですから、専門の業者に、セキュリティのしっかりしたサイトの構築の見積もりを出してもらったところ、200万程度かかることが分かったんです」

病院の外で社会とつながった集まりを

既存のSNSを使用するのでは、十分なセキュリティが確保できないため、日時を決めた交流会も行なえる専用のサイトを作りたいとのこと。そのために、古村さんは、クラウドファンディングを立ち上げました。4月24日までに200万円を集めることが目標ですが、まだその額には届いていません。

「がんやリンパ浮腫と向き合っていくためには、ほっとできる場所があるというのはとても大切なことだと、私も自分の闘病経験から実感しました。病院主宰のいろんな会もありますけど、病院の外で社会につながった集まりを求める人もたくさんいると思うんですよね。思いのたけを安心して話せる場所を作るために、必ず目標を達成したいです」

病気を乗り越えるためには、病気そのものに対してだけではなく、精神面での支えが欠かせません。心を許し合える仲間との交流には、傷ついた気持を癒す強力なパワーがあるはずです。

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