はじめに

本源的な価値を見直そう

インデックス運用やリスク・パリティ運用(株や債券など投資している各資産のリスクの割合が均等になるように分散して保有する運用手法)と呼ばれる投資スタイルが世界中で幅をきかせていることや、アルゴリズム取引やAI取引の普及によって、株式市場が大きく下がると多くの銘柄が業績に関係なく一斉に売られるという光景を目にする機会が増えています。

個別株投資をしている投資家は、自分が良いと思って投資した銘柄の株価が想像以上に下落したことでショックを受けていることでしょう。

しかし、個別企業の本源的な価値はそこまで変わりません。新型コロナウィルスの影響で経済環境が悪化すれば当然企業の業績も悪化するかもしれませんが、しっかりと価値を生み出せる企業はいずれ経済が改善していけば、それとともに株価も業績も上昇するでしょう。

実際、新型コロナウィルスの影響で企業の業績悪化は確認されていますが、このような環境下でも商機を見つけている企業があるのも事実です。帝国データバンクが発表している「TDB景気動向調査」の2020年3月分のデータによれば、売上高が減少している企業は 55.8%と半数を超え、売上高が増加している企業の割合(21.4%)を大きく上回っています。見方を変えれば約2割の企業は売上を伸ばしているのです。

投資は人生の脇役である

最後に覚えていてほしいことは、「投資は人生の脇役である」べきだということです。投資を通していろいろなことを学び、時に仲間とする投資談義は非常に楽しいものです。

しかし、あくまで投資は脇役であるべきです。銀行預金では資産を増やすことができないので、余剰資金の一部を貯金から投資に回す。定期的な収入は仕事の対価として、お金を稼ぐ。これがあるべき姿です。

間違っても、貯金を切り崩してまで投資にお金を回したり、1日中チャートを見続けるなどの行動をしてはいけません。

今回のように相場が荒れ始めると、信用取引で大損をしたなどの情報が出回り、「やはり投資は危ない」とねじれた認識が広まりますが、それは必要以上にリスクをとりギャンブルをした結果であり、本来の投資の姿ではないのです。

余剰でない資金や、生活資金を崩して投資につぎ込んでいる人は相場の変動で精神的に疲弊してしまいます。既に投資が人生の大部分を占めてしまっている状態です。株価の動きで精神的に疲れてしまうのであれば、現在投資している金額を減らすべきです。

投資は適切な額を運用しているのであれば、将来人生を豊かにしてくれるパートナーになりますが、あくまで脇役であることを忘れないでください。本業に支障が出たり、精神的にダメージを受けるようでは人生の主役であるはずのあなたが、いつの間にか投資に主役を奪われています。

このような相場環境だからこそ、投資とは適切な距離感をもって長い付き合いをしていきましょう。

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