はじめに

経済面さえ払拭すればロックダウンに不安はない

外出制限が始まると、食べ物や日用品がなくて困るという状態は起こりませんでした。小売店によってはもしかしたら品薄となる商品棚があるかもしれませんが、生活が脅かされるほどではありません。制限下での暮らしのため不便なのは確かです。しかし買い物のためなら好きな時間に外出が許されています。

シャッターがすべて閉まったパリの観光地モンマルトルシャッターがすべて閉まったパリの観光地モンマルトル

運動もできます。運動目的での外出については、当初はそれほど細かく決められてはいなかったものの、それ以外の目的で外出する人が増えたため、今は「1日1時間以内で自宅から1km以内」と決められました。なかでも多くのフランス人にとって気になったのが、外出制限で働けなくなることで減ってしまう収入でした。これについてはフランス政府が大規模な財政出動を決めました。

まずマクロン大統領は、3月16日のテレビ演説で今回の新型コロナ騒動による企業倒産は起こさせない意思を国民に伝え、フランス政府はさまざまな対策を発表しました。

部分的失業(一時的な休業)になった場合、給与の84%が企業から従業員に支払われます。通常であれば、国から企業へは法定最低賃金分のみ払い戻されますが、今回の場合は、国が法定最低賃金の4.5倍を上限に100%補償して企業を支えます。

中小企業は、社会保障費や税金、水道、電気、ガスの支払いが延期可能になりました。さらに自由業やフリーランスの場合、または2020年3月の売り上げが5割減少した社員10人未満の零細企業で、年間売上高100万ユーロ(約1億2,000万円)未満の会社の場合は、1,500ユーロ(約18万円)の支援を国に求められるようになりました。

失業中の人であれば、失業保険などの権利が外出制限の期間は延長されます、それ以外にも仕事状況や家庭の事情によって、国によるフォローが定められました。

ロックダウンが決まっても冷静な行動を

パリで外出制限された状態で生活してみると、制限自体は、そこまで不安になる必要はありませんでした。買い占めも必要ありません。物流は十分に機能します。普段通りに外出できないのは少々窮屈ですが、外食を除けば普段とほぼ同じ生活レベルで過ごせます。

これら、ひとりひとりの自制心に加えて、政府からの経済的・精神的に国民の不安を払拭するサポートがあれば、さらに私たちは落ち着きます。世界的な新型ウイルス拡大に人々の不安は募る一方です。しかし冷静に行動し家にいることで収束は必ず訪れるのです。

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