はじめに
今、新型コロナウィルスの感染拡大のストップが見えずに、先行きに不安を強めている人が多いでしょう。
ニッセイ基礎研究所では3月1日の政府による全国一斉休校要請の直後に、全国に住む20~50代の6000人に対して、新型コロナウィルスに対する不安をはじめとした「暮らしに関する調査」を実施しました。
調査結果から、どんな人がより強い不安を感じているのか、そして、外出自粛でどんな行動が増えているのかについて見ていきたいと思います。
新型コロナに7割が不安 男性より女性、年齢が高いほど不安
「新型コロナウィルス関連肺炎に対して、どの程度不安に感じるか」についてたずねたところ、全体では「非常に不安」(38.6%)と「やや不安」(35.1%)をあわせた不安層が73.7%でした(図表1)。
また、不安層は年齢が高いほど多く、年代によらず、女性が男性を上回っていました。これは、女性の方が男性と比べて、子どもの休校や日用品の買い占め騒動などの新型コロナによる暮らしの混乱の影響を受けやすいためでしょう。
家族の状況別に見ると、未婚者より配偶者のいる既婚者で、子どもがいないよりいる方が、単身世帯より同居家族の人数が多い方が不安層は多くなっていました。家族の人数が多いと、自分だけでなく家族の心配もありますし、自宅での罹患リスクが高まるといった懸念もあるのかもしれません。
男性は管理職で、女性は専業主婦やフリーランスで不安が強い
職業別に見ると、男性では不安層は「公務員(管理職以上)」(75.3%)で最も多く、次に「正社員・正職員(管理職以上)」(72.4%)、「公務員(一般)」(72.2%)、「正社員・正職員(一般)」(69.4%)、「経営者・役員」(68.4%)の順に多くなっていました。
課長や部長といった管理職の方は、出社制限やテレワークへの切り替え指示といった現場のマネジメントを担っています。4月8日に政府が緊急事態宣言を発令しましたが、調査を実施した3月の上旬は日々刻々と状況が変わっていた頃です。現場マネジメントの負担感の大きさが、不安の強さにつながっていたのでしょう。
一方、女性では不安層は、「専業主婦」(84.8%)で最も多く、次に「自営業・自由業」(81.0%)、「嘱託・派遣社員・契約社員」(79.6%)、「パート・アルバイト」(78.1%)、「正社員・正職員(一般)」(74.3%)の順に多くなっていました。専業主婦をのぞくと、雇用が不安定な方ほど不安が強くなっています。
なお、女性では、職業に子どもの有無別もあわせて見ると、子どものいるフリーランスの女性で最も不安層が多く、専業主婦を超えて9割となっていました(図表2)。