はじめに

ファンド第2弾は半導体製造装置や素材を強化

国家半導体ファンド第2弾の主な投資対象としては、ファウンドリやフラッシュメモリ、DRAM、PC・スマホ向け演算処理チップなどが考えられるほか、サプライチェーンの中で特に手薄な半導体製造装置や素材への投資を強化する見通しです。

現在、中国で使われている半導体製造装置の大部分は米国のアプライド・マテリアルズとラムリサーチ、オランダのASML、日本の東京エレクトロンなどの海外企業が供給しています。

昨年米国からの圧力で、一部の中国半導体企業が半導体製造装置を購入できない事態が発生したため、政府当局は製造装置と素材のレベルまで掘り下げて国内メーカーの育成に注力し始めています。

中国の代表的な半導体製造装置と素材のメーカーとしては、北方華創(深センA:002371)と中微半導体(上海A:688012)、安集科技(上海:688019)などが挙げられます。このうち北方華創はウェハの膜形成やエッチング、洗浄装置、縦型拡散炉などを製造する国内最大の半導体製造装置メーカーで、中微半導体はエッチング装置に強みを持ち、TSMCなど大手ファウンドリへの納入実績もある新興企業です。

また、安集科技(上海:688019)は半導体製造工程で使用するCMPスラリーとフォトレジスト剥離液といった化学薬品を製造しており、主にSMICなど国内の半導体企業に製品を供給しています。

これら中国の半導体製造装置と素材のメーカーは日米の同業大手に比べて、売上高が10分の1以下とまだ規模が小さいものの、今後中国の半導体産業と政策支援が拡大していく中で急速に存在感を高めていく可能性があると見ています。

※本文と図表の中で、銘柄コードが300と688で始まる企業については、中国の新興市場(深セン創業ボードと上海科創ボード)の上場企業であるため、現在日本から個人で直接投資することができません。

<文:市場情報部 アジア情報課 王曦>

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