はじめに

新型コロナウィルスの影響で心理的ストレスを感じている人に届けたい、「ストレスマネジメント方法」をお伝えします。

コロナストレスは先が見えないトンネルを歩いているようなものですね。先が見えないものには不安がつきものです。


不安対処にはルーチンを決めることが効く

人は不安があると普段の日常生活と違う行動をとってしまいます。

たとえば
1.夜更かし→ コロナの事が心配でネットで情報を見ているうちに様々なコンテンツに興味が出て、遅くまでネットサーフィンしてしまい、寝る時間が乱れ、睡眠時間が短くなる。

2.アルコールの量が増える→ 最近のデータでは、アルコール依存上患者の支援団体Alcohol.orgは、アメリカ人労働者3,000人の調査より

・在宅勤務中に飲酒した 32%
・自主的な隔離中に平時よりたくさん飲酒しようと考えている 35%
・アルコールを備蓄している 22%

と在宅勤務者の約3分の1が飲酒をしていたことが判明しました。アメリカの依存症センターは「あなたやあなたの家族があまりにも頻繁に酒瓶に手を伸ばしていたら懸念すべき」と警笛を鳴らしています。

心理学では、人間は不安に襲われると何かをしていないといられなくなり、手っ取り早く快楽が得られ、尚且つ害になるような依存に陥りやすくなるといわれています。このようにコロナ不安が原因となり、すでに様々な形でストレスの反応が出てきています。

コロナストレス対処として、第一に行うべきことは日常生活のルーチンをしっかり決めることです。そのわけは、決められた時間にこなす事があると、こなすことに気持ちが集中するため、不安が脳の中の別の不安や不快感とくっついて大きな不安になることを防ぎます。

夏休み、生活をダラダラさせないために生活の円グラフを子どものころに作った経験はありませんか?まさに、それを実施しましょう。

昼間のスケジュール

夜間のスケジュール

ルーチンを作るときには、星印を参考に「モードチェンジ」や「リラックス時間」を予定表に入れてください。

モードチェンジとは、気分を日常生活から仕事モードに変えるきっかけになるような事、たとえばお気に入りのカップを決め、香りが良い飲み物を入れる、同僚とメッセージアプリで会話して、仕事関連の脳に近づける、通勤する代わりウォーキングやストレッチ、好きな音楽を聴くなど自分だけの時間に変えるなどです。

モードチェンジで大切なこと

特にモートチェンジでやっていただきたい事は、太陽の光に当たることとストレッチです。太陽の光はセロトニンという物質を脳から出しやすくします。

セロトニンとは、深部体温を上げ、体を動かしやすくしたり、集中したり、活力を上げるホルモンです。ですから、1日1回外に出て、太陽を浴びることを心がけることが大切です。

ストレッチは、同じ姿勢でずっと過ごしていると、体の筋肉の緊張が心の緊張や不安を引き起こしてしまうため、心をほぐすためにも体をほぐすことが大切です。

そして、最も忘れてはいけないのはあなたの素敵な笑顔です。毎日鏡を見てください。そして笑顔を作ってください。あなたの笑顔はプライスレスな力を持っています。笑顔を作ることを忘れない生活を送ってください。心理学の実験でも笑顔を作ることで顔の筋肉の緊張が和らぎ、それが脳に信号として伝わり、楽しい気分になることがわかっています。

体内時計を正しく刻む

注意として、起床・就寝は必ず決め、守ってくださいね。人間の体内には「概日リズム=体内時計」というものがあり、起きる・寝るリズムが一定だと体が活性化されたり、夜就寝前に眠くなったり、便通も一定の時間に起こるようになり、体が軽く感じます。

ネットサーフィンにより遅くまで起きていたり、アルコール摂取に頼ると睡眠が浅くなり、体内時計が崩れてしまいます。免疫力の低下にも繋がります。コロナ不安対処として、第一に最も大切な事は、生活を時間で区切ってリズムをつける事です。

これらは当たり前すぎて、自分はできていると思いがちですが、コロナ禍の状況では、実は少しずつ生活リズムが狂ってきています。決めた事を決めた時間にすることで、生理的にも健康を手に入れられ、不安が他の不安と雪だるまのように大きくなり、身動きが取れなくなることを防ぎます。

今、鬱々とした気分や不安が少し大きくなり始めている人は、ストレスマネジメントの基本中の基本、生活リズムをつけ、時間道理に生活する事を何よりも最優先にしてください。

東日本大震災、第一原発事故から学んだこと

私は、東日本大震災の福島県南相馬市で市民のためのメンタルヘルスケアを3年間行ってまいりました(厚生労働省委託事業)。あの時は放射能の不安から部屋を出れない状態が何年も続きましたから、ストレスマネジメントは、生きるために必要なことでした。

私が市民の方に第一に徹底していただき、とても効果があったのは、実は今回書いた事と同じ不安対処方法なのです。放射能の不安とコロナの不安はその性質が違いますが、人が不安を抱え、体も心も崩れてしまうプロセスは同じです。

どうぞ今すぐに実施して、これからさらに続くかもしれない危機に立ち向かってください。体と心が元気であれば、やり直しも再スタートもきれます。

今ここで不安対処の一歩、ストレスマネジメントを実施してみてはいかがでしょうか。物理的な人との距離が心の距離を広げ、不安を引き起こすきっかけをつくってしまう昨今、未来を作っていくための大きな力となります。

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