はじめに

後発薬とは、特許期間満了や再審査期間終了によって参入障壁がなくなった先発薬(新薬)と同一の有効成分や効能、用法などを有する医薬品のことです。

後発薬は、1成分あたりの開発費が1~3億円程度(先発薬は300~1,000億円)と、低コストでの開発・製造が可能。患者負担の軽減や医療費抑制を通じて、医療保険財政の改善に重要な役割を担っています。


過去最大の市場規模に

当経済研究所では、21.3期の特許満了先発薬の市場規模(薬価ベース)は、過去最大となる約4,500億円(前期900億円に対して5倍)に達すると考えています。

また、22.3期と23.3期に関しては、それぞれ約3,000億円の特許満了先発薬の市場規模になるとみています。

21.3期の特許満了先発薬に対する後発薬のピーク時予想市場規模(仕切価ベース)は、1,400億円に達するとみています。

初年度の置き換え率を30%と想定すれば、21.3期における新製品後発薬の市場規模は403億円となる見通しです。

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後発薬メーカーの戦略上の差別化要素

後発薬は差別化が難しく市場参入が比較的容易なため、競合よりいかに先行して発売できるか、また、いかに市場参加者が少ない領域で参入するかの目利き力が戦略上重要なポイントとなります。

また、品ぞろえを充実させることで医薬品卸にとっての利便性を高めることも重要なポイントとなります。

当経済研究所では、21.3期新製品市場において日医工(証券コード:4541)と沢井製薬(4555)が比較的高いシェアを獲得すると予想しています。

この2社は、骨粗鬆症薬「エディロール」(中外製薬/大正製薬売上高約600億円)において2社のみの先行的発売に成功。AG(Authorized Generic、先発薬メーカーの許諾を受けた後発薬)の発売が予定されていないため、特許満了による高い恩恵を受けることが予想されます。

先行的に発売した後発薬メーカーは、高い市場シェアの確保が見込まれるため、通常の新製品よりも大きなメリットを享受することが期待されます。

また、一旦医療機関への納入が決まった際は、後発で市場参入したとしても採用実績がある医者と患者からの置き換えが難しく、先行者は参入障壁を有することになります。

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