はじめに

担任と児童相談所との連携が難しい現状

東海地方のある中学校の教員はこう話します。

「コロナ禍以前、平常時からも言えることなのですが、文章による情報の引き継ぎは、担当者の主観や価値観に左右されるところが大きいんです。担当者が、子どもとそのご家庭について、どのような点を、重大な事柄と捉えるか。児童相談所の担当者が変わって、新しいかたへ引き継がれたときに、引き継ぎ内容に不備を感じることが、しばしばあります。私たち学校の教員が、この内容は重大なことだと感じることが引き継がれていない。一方で、この内容を引き継いでどうするのだろうと疑問に感じるようなことが引き継がれている。そんなことがしばしばあります」

また学校の担任と、児童相談所の職員が、異動や進級により、お互いはじめて関わりを持つ者同士であることも少なくありません。

学校の教員と、連携する児童相談所の職員などとの関係も、ひとつの人間関係です。お互いどのような人物で、どういった伝えかたをすれば、どのように動いてくれるか、また動いてくれないのないか。学校側の認識する問題や、必要性を感じる対応を児童相談所がどう判断するか。子どもからの聞きとりなのか、家庭への訪問なのか、保護者との面談なのか、子どもの一時保護措置なのか。子どもや家庭への対応を左右する一要因となります。

学校と児童相談所をはじめとした各関係機関との連携をスムーズに行うためには、事案に対する各々の捉えかたや動きかたをある程度接してみて、お互いに知る必要性があるでしょう。しかし新型コロナウィルス蔓延下で、挨拶はおろか、顔合わせをすること、対面で連携を図ることの難しい現状にあります。

コロナ禍で新たなリスクの発生に懸念も

関西地方の児童相談所に勤める児童福祉司によると「子どもや家庭の実態は、普段の家庭の様子を訪問してみなければ把握が難しい。日時をお約束しての家庭訪問では、当然ながら保護者のかたもよい面を見せよう、取り繕おうとされます。しかし新型コロナウィルス感染拡大下では、お約束の有無に限らず、そもそも家庭訪問自体、行うことが困難です」

また児童相談所より一時保護措置を受けた子どもは、保護期間中の生活を児童養護施設や乳児院などで過ごします。児童相談所から児童養護施設などへ委託されるかたちです。

コロナ禍が、要保護児童数や、児童相談所から児童養護施設などへの委託件数といった実数に影響しているか否かはまだ不透明です。しかし児童相談所の面会をコロナ禍を理由に断る保護者が増えていると報じられています。たしかにそれは合理的な理由として成立はするでしょう。問題はそれが隠れ蓑となり得ることではないでしょうか。

これまで述べてきたように、その前の段階で、何重にも躓きや壁があるのが現状です。また従前よりリスク要因があった家庭に限らず、コロナ禍により、貧困や暴力、心身の健康を損ねるといったことなどが、新たに発生する危険性も十分に考えられます。コロナ禍自体が新たなリスク要因となり得るのです。