はじめに
焼きそば、お好み焼き、ピザ…栄養足りてる?
伸び率の高かった炊き込みごはん、焼きそば、ピザ、チャーハン、お好み焼き・たこ焼きは、いずれも主食に肉や卵、野菜などが一緒に入った「複合的なメニュー」。野菜も入っているから栄養もとれていると思い込み、それひとつで食事を済ませてしまうことも多いのではないでしょうか。
ところが、そうした食事の場合、「十分な野菜やたんぱく質がとれているのか気になります」と指摘するのは、女子栄養大学の武見ゆかり教授(管理栄養士・栄養学博士)。
十分な栄養がとれているのかを調べるためには、野菜やたんぱく質を多く含む食品(魚、肉、卵、大豆)が、別皿に盛り付けたときに一品として成立する量かを考えることが大切だといいます。
「もし一品にならないほどの少ない量だったら、足りない分を別の料理で補いましょう。
たとえばスパゲティナポリタンなら、ハムは入っていますが、それだけでは一品にはならないですよね。野菜も、玉ねぎとピーマン少々では一皿の野菜料理にはならない。であれば、卵を目玉焼きにしてパスタの上にのせ、野菜サラダを一品加えるといったような工夫が必要です」
中食は〇〇に要注意!
また、フードデリバリーやテイクアウトによるお弁当、スーパー・コンビニ等で買ったお惣菜など、家庭外で調理された料理を家で食べる「中食」が続く場合はさらに注意が必要だといいます。
「中食の場合は、食塩摂取量の問題も懸念されます。すでに調味されていると、そこから食塩を減らすことはできません。中食を利用する際は、カロリー表示とともに食塩相当量の表示を見る癖をつけましょう」
武見教授によると、日本人の食塩摂取量は、若年者では自宅調理品からよりも、加工食品や外食からの摂取割合が多いといいます。1日の食塩相当量の上限は、男性7.5g、女性6.5g。中食でやや食塩相当量の多い食事を食べたら、次の食事では減塩を心がけるなど、1日の中でバランスを取ることが大切だそう。
では、具体的にどのようにしてバランスを取ればいいのでしょうか。日本高血圧学会の著書『減塩のすべて(南江堂)』も参考に、次のような工夫が考えられるといいます。
1:調味料を減塩タイプに変える
「日本人の食塩摂取源の約6割は、醤油や味噌などの調味料です。今はおいしい減塩調味料がたくさん販売されているのでいろいろ試してみてはいかがでしょうか」
2:うま味を活用
「昆布や鰹節だけでなく、トマトなどの野菜にも含まれているうま味を上手に活用しましょう。薄味でもおいしく食べられます」
3:主食は味付けをしていないご飯を優先する
「味飯、麺類、パスタ、パン類を主食にした場合、それだけで結構な食塩をとることになります」
4:塩は表面にだけ振る
「塩味をつけたい場合は、料理に混ぜこまずに表面に塩を振りましょう。表面についた塩は少量でも塩分を感じます」
常に栄養バランスを考えて食事を用意するのは大変なことです。毎日の食事を楽しむためには、手を抜くことも大切。中食を取り入れるときやお手軽メニューにするときも、栄養面での注意点を頭の片隅に入れておけば、気持ちが少しラクになるかもしれません。