新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの企業がテレワーク(在宅勤務)を取り入れています。自宅で仕事をするようになって、改めて「住まい」について考えた人も多いのではないでしょうか。

「職場まで歩いていけるマンションに住みたい」「子どもとの散歩に適した緑の多い環境に住みたい」など、住まいに求める価値観は人それぞれ。新築にこだわらず、中古物件を視野に入れ始めたという人もいるでしょう。

そこで、中古マンションを見極めるコツを、LIFULL HOME'S総研所長の島原万丈さんに4回にわたって伺います。

第1回は「マンション購入に中古という選択肢はアリかナシか」です。


新築マンションの供給量は年々下がっている

中古物件に手を入れて住むという文化が根付いている欧米に比べて、「新築信仰」が強かった日本。ここ数年、その流れが大きく変わりつつあります。中古マンションを買う人が、年々増加しているというのです。

2019年度の首都圏の中古マンションの成約件数は約3万8,000件。2年連続で前年度を上回り、過去最高を更新しました。数字だけ聞いてもピンとこないかもしれませんが、これは10年前と比較すると約1.2倍です(公益財団法人東日本不動産流通機構、2019年度首都圏不動産流通市場の動向)。

「その裏には、新築マンションの供給戸数が年々減ってきているという事情がある」と島原さん。「2019年のマンション販売戸数は約3万1,000戸。最盛期の2000年前後は8〜9万戸ほどあったので、3分の1程度まで落ち込んでいる」と説明します(不動産経済研究所、2020年1月22日発表)。

「価格の高騰に加え、都心でホテルなどの建設ラッシュが続いたことでマンション建設用地を取得できなくなったのも大きな要因です。そのため、ここ最近売り出された新築マンションは湾岸エリアか都心の一等地の再開発エリア、23区外の駅前の再開発エリアが中心。購入できる人は限定されるでしょう」(島原さん)

新築マンションが数多く建てられていた時期であれば、エリア限定で選んでも新築が選び放題だったかもしれません。でも今は、「この駅周辺に住みたいけれど、新築マンションがひとつもない」という可能性もあります。

立地と面積で比較すると、中古マンションが明らかにお得

また、中古マンションが選ばれている理由は、単純に供給数の問題だけでもないようです。「立地と面積で比較すると、新築に比べて中古マンションが得であることがはっきりとわかる」と島原さんは続けます。

住宅情報サイトを参考に、「JR目黒駅徒歩10分」「9〜10階程度に位置する部屋」という、比較的条件が近い新築と中古のマンションを見比べてみましょう。

まずは新築マンション。19年5月に竣工した約42平米の1LDKで、価格は5,740万円です。
一方、中古マンションは1970年竣工と築年数は経っているものの、内装は新しく作り変えられており、すぐに入居できる状態。約67平米の2LDKで、価格は3,999万円です。

「今や新築と中古マンションの価格差は歴然としています。予算が限られている人は中古マンションを選択肢に入れると、家選びの幅がかなり広がります」(島原さん)。