はじめに
リモートワークがニューノーマルに
リモートワークへのシフトは、先進的な企業ばかりでなく全世界で進められています。移動が制限されたことで、在宅でのリモートワークは急速に拡大し、リモート会議も広く利用されるようになってきています。「ポストコロナ」にシフトしても、これまでと同じように企業に出向いて面談したり出張したりする必要性は感じられにくくなっているでしょう。
もちろん、初顔合わせや雑談など対面で行って雰囲気を感じたり仲良くなったりしておきたいとのニーズは一定程度残るでしょうが、移動時間と必要としない便利さなどが実感されたことにより、初回は実際に面談しても、2回目以降はリモート面談を選ぶというように併用される可能性は高まっています。
居住地や家屋の選択にも変化が生じると予想されます。リモートワークやオンライン授業が浸透したことで、時間や場所を選ばずに仕事や学習を行うことができるようになっています。一部の企業は、コロナの収束後も、リモートワークを継続する方針を示しています。
出勤回数が減少すれば、通勤に便利な都心よりも、郊外の自然に身近な広い家を好むようになるかもしれましせん。また、家族全員が別々にオンラインで作業することが当たり前になってくると、ネット環境の整備や一人ひとりの作業スペースの確保を意識した間取りの家屋が設計・販売されるようになってくるでしょう。
「移動の制限」が事業転換への圧力に
一方、「移動の制限」が継続し需要が抑制される業界では、厳しい状況が続くと予想されます。旅行や航空、自動車業界などがその代表です。事業モデルそのものを変えなければならない業界もあるでしょう。
たとえば、鉄道や航空業界では、「3密」を回避した乗車を確保するために、乗客あるいは運航会社は従来よりも高いコストを支払わなければならないかもしれません。航空会社はコロナ前のような大規模輸送に代わり、単なる移動手段以外の付加価値をつける必要が出てくるでしょう。
旅行や観光分野では、今までのリアルな移動に対して、VR(バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実感)を利用した観光体験が広く普及するかもしれません。すでに、名画を3Dデータ化しVR空間内で手に取るように鑑賞できるサービスなども提供され始めています。
「新しい生活様式」から生まれるニーズにいかに素早く対応してビジネス展開していけるか。「ウィズコロナ」「ポストコロナ」時代に強い企業に必要とされることでしょう。
<文:シニアストラテジスト 山田雪乃>