はじめに
誰でも2000万円が必要なわけじゃない?
まず、老後に向けてどれくらいの資金準備が必要なのかについて考えてみましょう。老後2000万円問題など話題になりましたが、世帯によって、収入も生活費も異なります。ご自身の家庭に合わせた準備が必要です。必要な資金は下記の式で試算することが出来ます。
[老後資金準備]=[老後生活費]―[公的年金受給予定額]―[退職金・企業年金等]
まず、老後の生活費について考えてみましょう。
参考までに、一般的なご夫婦お二人の老後の生活費を見てみます。総務省の2019年家計調査報告によりますと、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均消費支出は23万9947円となっています。
参考:家 計 調 査 報 告 家計収支編
一方、ご相談者の現在の月々の生活費は約20万円です。そこまで大きく生活費の変化は無いとしても、少し余裕を持たせて考えておくと良いでしょう。
年金の見積もりで注意したいこと
では、公的年金受給額はどうでしょう。厚生年金については、加入していた期間とその間の収入によって受給額が変わります。夫の就職時年齢が22歳、退職時年齢65歳、平均標準報酬額を35万、妻は国民年金のみと仮定すると、現状の年金制度における概算で、夫が65歳~74歳の間は217万2000円/年、75歳からは256万2000円/年となります。
ご相談者は退職金などがないとのことですので、老後資金準備で必要な金額は、65~90歳までと仮定すると下記となります。
[老後資金準備]=[老後生活費]―[公的年金受給予定額]
404万9000円=[24万円×12ヶ月×25年=7200万円]―[6795万1000円]
これを見ると、400万円程度を準備すれば良いように見えますが、注意点があります。それは、公的年金の試算があくまで現状の制度が続いた上での試算ということです。ご存知の通り、日本は人口が減少しており、また少子高齢化も進行しています。現役世代の人数が減り、高齢者の人数が増えていくということは、将来受け取る年金額も減ることになります。
今後の人口ピラミッド予測を考慮すると、約20年後の年金受給額は約2割程度は少なくなると考えても良いかもしれません。その前提で試算をすると、老後に準備が必要な金額は、約1800万円となります。