はじめに
特別定額給付金は支えとなるか?
各国でさまざまな支援策が発表されている中、日本でも家計支援のための10万円の特別定額給付金が支払われることになりました。給付が始まっている自治体もありますが、今後本格的に給付が進むことが予想されます。しかし、給付金は経済回復の一助となるのでしょうか。
例として一足先に給付が始まっているアメリカの消費動向を見てみましょう。先日発表されたアメリカの4月分の統計では給付金等の影響により個人所得は+10.5% と大幅に増えたものの、個人消費は△13.6%と前月に続き大幅に減少しています。つまり、給付されたお金は使うのではなく将来に備えて貯蓄をしている傾向が見て取れます。
日本でもアメリカ同様に給付金があまり消費に回らない可能性もあります。実際に、リーマンショック時に実施された定額給付金では、消費に回ったのは受給額の25%でした。また、特別定額給付金の使い道について聞いたマイナビニュースの調査では、約36%が貯金と回答しています。国民の消費がV字回復へ向かうにはもう少し時間がかかりそうです。
<文:Finatextグループアナリスト 菅原良介>