はじめに

足元は短期過熱の可能性も、依然上値余地

また下図では1995年以降の6回の底値からの回復場面と今回の値動きを比較しています。各局面の底値を100として指数化し6回平均を作成しましたが、おおむね底から2ヵ月で20%超えの上昇と、ほぼ今回並みの回復を示しています。

今回の回復は足元やや加速していることもあって、今後やや上昇ピッチが緩む場面がありそうですが、過去パターンに沿って基本的にはじり高歩調をたどることが期待できそうです。感染第2波がある程度コントロールされるとすれば、1年程度で2万4,000円超えの高値トライの可能性も感じさせます。

過去の大底通過後の物色動向は?

今回の調整局面では各国で新型コロナ感染に伴う強力な活動制限がとられたことで、かつてないスピードで急速に経済が失速、一気に底に到達したとみられる格好となりました。

2008年リーマンショックの反省や、先行きが読みづらいコロナ・ショックへの対応だったため、各国政策当局の対応も比較的早期・大規模なものとなったことで、よほど厳しい感染第2波が到来しない限り、再失速のリスクは小さいと思われます。

今回比較対象とした6局面について、業種別TOPIX17分類について活躍セクターを見てみました。大底から半年間のパフォーマンスでは、やはり金融・不動産・市況産業などの景気敏感株の活躍が目立ちます。

今回は構造問題への懸念などが上値を抑える格好となっていますが、バリュー株の見直しなどで、随時リバウンド的に出遅れ物色の対象となるかもしれません。小売・食品・医薬品などのいわゆるディフェンシブが冴えないのもイメージ通りといえますが、今回、医薬品がウイルス・ワクチン開発への期待を支えに全業種で首位となっていることが特徴的です。

テレワークの広がりが「情報・通信・サービス他」を押し上げているのも目を引きます。経済再生がより鮮明となれば、過去も上位だった「電機・精密」「機械」にも引き続き活躍余地はありそうです。「新しい生活様式」にも寄与することが期待される半導体・5G・情報システムなどに関連する企業が注目されます。

出所:QUICKデータなどをもとに岩井コスモ証券作成

<文:投資調査部 林卓郎>

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