はじめに

出口が見えてこない「暗」の国々

その一方で、現時点でもなかなか回復の兆しが出ていないのが「暗」の国々で、「インドネシア、フィリピン、インド」などが挙げられます。これらの国に共通しているのが、貧富の差が大きく、かつ、財政状況が脆弱であることです。

直近、世界ではブラジルや中南米国などの国の感染者増が顕著になっていますが、アジアでも感染者増が目立っているのはほぼ同じような問題を抱えている国で、回復までには時間がかかりそうです。

中でも特に不振が目立つのがインドとインドネシアです。インドでは都市封鎖が再三にわたって期間を延長されていますが、6月はじめの時点でもいまだに1日あたり8千人超のペースで感染者が増加している状況で、現時点でも収束する兆しがみられません。

3月、4月、5月と、3度にわたって経済対策パッケージを公表しましたが、インドの財政事情から考えると野放図な財政拡張策は難しく、当面景気の低迷が続きそうです。

もうひとつが、インドネシアです。政権発足当時は、ジョコ大統領に対する期待感の高まりから「ジョコノミクス」とはやされましたが、ここ数年は景気低迷が続く中で、期待感低下につながっています。

原油をはじめとする国際商品市況の大幅調整による鉱業部門の不振や異常気象による農林漁業関連の生産低迷も、景気低迷要因のひとつとなっています。

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実際、直近発表された経済指標のうち、4月のインドネシアの自動車販売台数は、前年同月比約9割減でした。自動車販売は世界的に低迷しているとはいえ、インドネシアの景気低迷を象徴する数字であったといえるでしょう。

インドと同様に、直近の混乱によって雇用・所得環境は著しく悪化しており、これまでの経済成長のけん引役であった家計消費が急減速しています。ジョコ政権は当面きびしい政策運営を余儀なくされそうです。

<文:明松真一郎 市場情報部 アジア情報課長>

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