はじめに
離婚を視野に
それから1ヵ月ほどたったとき、夫は「家事代行にいくら払っているのか」と尋ねてきました。家計には手をつけていない、私の稼ぎの中から払っているので言いたくないとユカリさんは告げます。
「その後、本当にたまたまなんですが、夫がテーブルの上に置いていた本の間から給与明細が覗いていたので見てしまったんです。そうしたら夫の給与、私ととんとんでした」
これなら養育費をもらえば離婚してもいいかもしれないとユカリさんは感じました。結婚したとき購入したマンションも共同名義なので、売って折半もありかな、と。
「昨年の年末に、夫に離婚しようかと持ちかけたんです。このまま仮面夫婦みたいなことをしていてもしかたがないし、あなたは家事代行を憎んでいるみたいだからと皮肉交じりに。すると夫は、急に涙目になって子どもと別れたくないって。家事代行も認める、と」
実際に家事をやった夫は
このコロナ禍、在宅勤務となった夫は積極的に家事に取り組んだそうです。ユカリさんは週3日は出社していたのですが、帰ると夫が疲弊していました。
「コロナがおさまったら、家事代行をまた頼もうと夫のほうから言い出しました。何を思ったのか、夫は『ユカリが仕事を、単なる生活費稼ぎだと思っていないことがわかったよ』とまで言い出して。たまたまうちの会社のこと、私たちのチームが取り組んでいる仕事が業界誌に出ていたんですよ。なにげなくテーブルに置いておいたら読んだみたい」
どこまでわかってくれたのか半信半疑だったユカリさんですが、つい先日、夫がしみじみと言ったそうです。
「人間っていくつになっても学ぶことがあるよねって。夫がそんなことを言い出したのは初めてなので、ちょっとびっくりしました」
新しい価値観、新しい自身の変化に夫は気づき始めたのかもしれません。