はじめに
暴落のニュースが投資家掘り起こしの刺激に
下がったら買う。暴落は買い
このような逆張り志向は多くの個人投資家に見られる特徴の1つです。
松井証券広報担当の吉澤正壽さんは、ビギナーに限らず「株価急落時にNISA口座で買う投資家は以前から多い」といいます。
その点から見ると、コロナショックは「暴落しているなら買ってみようか」「今が買い時なのではないか」といった心理を刺激し、株式投資に興味を持つ潜在的な投資家層を掘り起こす要因になりました。
暴落がきっかけとなって新規の投資家が増えた例は過去にもあり、リーマンショック後も新規の口座開設が増えました。
しかし、口座数で比べるとコロナショックの方が上です。
リーマンショック後で最も口座開設が増えたのは2008年11月で、12,344口座が新設されました。コロナショック後は20年3月が最多で、14,089口座が新設されています。
その理由について、吉澤さんは「リーマンショック時よりも株価下落が身近に感じられたからではないか」と分析します。リーマンショックは金融危機で、しかもアメリカ発の暴落だったため、株などのリスク資産を持たない層では興味を持たなかった人たちもいます。
一方、コロナは身近な危機で、感染者数の推移とともに、株価の動向についても連日のように報じられました。
そういったニュースが「さすがに安いのではないか」「これ以上は下がらないのではないか」といった逆張り志向を刺激したのかもしれません。
「原油価格の暴落や、米国NY市場でサーキットブレーカー(株価の急騰・急落による混乱を避けるために売買を15分間中断する制度)が連続して発動されたことなども大きなインパクトを与え、「株が安い」「今が買い時」という認識を醸成した可能性もあります」(吉澤さん)