はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。
今後の資産運用について相談があります。現在の年収は700万円程度。預貯金として200万円、投資信託が100万円(利回り8%)あります。投資信託は、国内・海外の債券や株式に広く投資するインデックスファンドを購入しています。現在は毎月定期預金に2万円、投資信託を7万円購入することで、徐々に投資信託の割合が増加していくようにしています。
1)仕事を大事にしたいため、投資に大きく時間をさきたくはない
2)長期的に資産を形成したい
上記の要望を叶えるためには、今後のポートフォリオをどのように構成していけばよいでしょうか。アドバイスをお願いします。
(20歳後半 独身 男性)
深野: 資産運用に関するご質問ありがとうございます。
ご質問に書かれているように、仕事を大事にするのはとても大切なことです。資産運用によって仕事がおろそかになったり、ストレスを貯めたりしてしまってはなんのための運用かわかりません。
仕事を大事にする気持ちは退職されるまで持ち続けるようにされてください。
ライフイベントを考慮した資産形成を
さて、ご質問のポートフォリオ構成ですが、その前にひとつ気になったことがあります。
毎月、定期預金を2万円預け入れ、投資信託を7万円購入と記載されていますが、今後のライフプランをどのように考えられているのでしょうか。
現在、20代後半で独身であることを考慮すれば、今後、結婚、マイホームの購入、子供の教育費など、まとまったお金が必要なライフイベントがいくつも発生するはずです。
今回、気になったのは、これらのライフイベントでお金を使用する時期に投資信託において利益が必ず得られているわけではないということです。
現在の資産は、預貯金200万円、投資信託100万円となっていますが、質問でお聞きした金額で運用を行っていけば、預貯金と投資信託の保有割合が2年で逆転することになり、その後、どんどん資産の差額が開いていくことになります。
年齢や年収等から推測するリスク許容度においては、現状の金額で運用を継続してもリスクを取りすぎだとは思いませんが、さまざまなライフイベントまでを考慮すると、やや投資信託の金額が多すぎる感があります。
今後のライフプラン次第とはなりますが、幾分、預貯金を厚めにした方がよい気がしてなりません。毎月の資金配分を投資信託、定期預金の半々とされてはいかがでしょうか。
おすすめのポートフォリオは?
もう1つ、年収の割に毎月貯蓄に回している金額が少ないように思えます。
年収を考えれば、手取額の25%から40%程度は貯蓄できる気がします。ポートフォリオを考える前に、現在の家計(収支バランス)についても、再考されてみてください。
ポートフォリオを構成する資産配分についてですが、投資に大きく時間をさきたくないと記載されていることを考慮すれば、国内外の株式や債券に広く投資するインデックスファンドに25%ずつ、均等に投資されてはいかがでしょうか。
あるいは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオを参考にされてはいかがでしょう。
GPIFのホームページを見ると、平成28年12月末時点の資産構成割合は「国内債券=33%、国内株式=23%、外国債券=13%、外国株式=23%になっています。
これらの配分を目安として、後は数年に1度、運用当初の資産配分に戻す、リバランスを行っていくとよいと思われます。