はじめに

売却前提にふさわしい物件の選び方は?

まず、売却を前提とする場合は、購入後に価格が下がりにくい物件であることが条件です。売却時点の住宅ローン残高よりも安くしか売れないと、残りのローンを一括返済することになるからです。しかも、せっかく買ったのに損をします。

駅から近く、予算内で可能なら、小規模なマンションよりも戸数が多いマンションの方がいいでしょう。ご相談者は家で過ごすことが多く、日々の生活を大切にしたいタイプですから、購入後は室内をきれいな状態で保てるはずです。これは将来の売却にも有利です。さらにマンション全体の管理がしっかりしていることも重要です。購入の際は、どのような管理形態か、定期的なメンテナンスがキチンと行われているかも確認しましょう。間取りは、個性的なものよりごく一般的な方が売却しやすいと言われています。

新築か中古かは予算によります。具体的なローン借入額は後ほど試算しますが、住宅ローンの返済額は現在の家賃より大幅には増えないようにしたいとのことですから、月6万円程度。場所にもよりますが、首都圏なら中古が選択肢となります。なるべく築浅な物件を探しましょう。そもそも、住宅ローン控除を受けるにはマンションなら築25年以内、相談内容に書かれている通り広さは50平米以上であることが必要です。

現在の家賃から考える購入費用

次に、購入費用について。現在の家賃をもとに考えてみます。返済額が月6万円の住宅ローンは、金利1%、返済期間35年なら借入可能額は約2130万円です。購入時の諸費用が物件価格の5~10%程度かかりますから、頭金として貯金から出す予定の500万円のうち120~250万円をこれに充てると、購入できる住宅は2400~2500万円となります。

ライフスタイルの変化によってはいずれ売るつもりではありますが、そのタイミングは現時点ではわかりませんし、最後まで住宅ローンを返済して住み続けることも想定しておいた方がいいでしょう。その場合、この返済計画に無理はないのでしょうか?

ローン期間から考える適正料金

ローンの返済期間は35年に設定しました。すぐに購入したとしても返済が終わるのは71歳です。年金暮らしで毎月6万円のローンは払えるでしょうか? 途中で繰り上げ返済を行い、返済期間を少しでも短くすることが必須となります。

返済期間を30年にすると、月6万円の返済で借りられる金額は約1870万円に下がり、頭金を加えて購入できる住宅は2200万円程度に。返済は66歳で終了します。返済期間を25年にすれば、購入できる住宅はさらに200万円程度下がり、2000万円が目安になり、61歳で返済終了します。安全性を見込むなら、予算を下げて当初から返済期間を短くすることも選択肢です。繰り上げ返済をしなくて済むので、暮らしに余裕がでますし、その分を老後資金に回せます。
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