はじめに

ブラジルは累積感染者数100万人突破

また、引き続き危機のさなかにあるのが新興国です。WHOが「南米が新たな感染の中心地」と指摘している通り、ブラジルでは累積感染者数が100万人を超え、米国に次ぐ世界二位となっています。

さらに被害が深刻なのはチリとペルーで、両国ともに感染者数は20万人を超えています。チリの人口はおよそ1,900万人、ペルーは3,200万人のため、人口当たりの感染者数では人口約2.1億人のブラジルを大きく上回っています。

他にも、メキシコ、インド、インドネシア、フィリピンでは毎日3〜5%程度の速いペースで感染者が増加しています。まだ感染者の絶対数は多くないものの、これらの国は貧富の格差が激しく医療制度も充実していないため早期の収束は困難と見られます。これら4ヵ国の人口の合計は20億人近くにも達し世界全体への影響も大きいため、警戒を続ける必要があります。

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ブラジルの被害の大きさは、ボルソナロ政権による経済優先の姿勢が原因とされることが多くあります。しかし、実際には大統領よりも権限の強い州知事によって、都市部では厳格なロックダウンが行われており、冒頭で紹介したグーグルのモビリティ指数を見ても、ブラジルの行動制限は日本よりも大幅に厳しくなっています。

また、ペルーはイタリアを超える世界で最も厳しい水準のロックダウンを全国規模で3月から現在まで続けていますが、感染加速が止まりません。前稿では日本の行動制限がスウェーデン並みの緩さだったにもかかわらず被害が欧米対比で大幅に抑制されていることを指摘しましたが、引き続き行動制限と感染者数の間に明確な関係は見られない状況となっています。

WHOは秋以降の感染第二波への警戒を呼びかけており、日本でも経済再開や海外からの渡航制限緩和に伴って再度感染が拡大する可能性は十分あります。その場合、行動制限の再実施が予想されますが、経済へのダメージを抑えるためにも、どの程度の行動制限が感染抑制に効果的かの解明が急務となります。

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<文:ファンドマネージャー 山崎慧>

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