はじめに

他者ではなく、自分を基準に行動する

このようなレッスンは、自分に関心を持ち、自分の感情を基準に行動するためのものです。ネガティブな意識が強い人は、他者の目を気にしすぎる傾向が強いのです。

「笑われたらどうしよう」
「的外れなことを言ってはいないだろうか」
「みんなは、私のことをどう思っているのだろうか」

「他者中心」の思考は、無自覚に自分自身の感情をないがしろにします。そんな状態では、自分の問題を解決する方向に向かうことはできません。

気分や感情には必ず理由があります。自分の感情に向き合うことによってそれを具体的につかむことができれば、解決のための行動につながるのです。

「自分の感情を基準にする」と、自分の不安材料を、具体的に消すための行動ができます。
これは自分の人生にとっても、大きな収穫だと言えます。
なぜなら、その一つの行動が、「安心を得るために行動する」という人生の土台づくりとなっていくからです。
そうなれば、その後の人生も、「安心を得るため」に選択していくことになるでしょう。
そんな安心は、自信にもつながります。

こんなふうに、決して不安が悪いわけではありません。
むしろ、不安は、自分を守るための未来からのメッセージです。
もし自分が不安を覚えたら、
「あ、私はいま、未来をネガティブにとらえているな。偏った見方をしているぞ」 と、「不安」を自分の味方にできるのです。

また、そうやって一つひとつの具体的な不安に気づいて、それを一つひとつ解消していけば、漠然とした不安の量も、次第に減っていくに違いありません。
(p160)


「不安は自分を守るための未来からのメッセージ」。そう考えて自分の感情と向き合うことができれば、いつの間にか、ネガティブな思考から抜け出しているでしょう。

著者プロフィール

石原加受子(いしはらかずこ)
心理カウンセラー。「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」アドバイザー。
「思考・感情・五感・イメージ・呼吸・声」などをトータルにとらえた独自の心理学で、問題解決、生き方、対人関係、親子関係などのセミナー、グループ・ワーク、カウンセリングを行う。『「しつこい怒り」が消えてなくなる本』(すばる舎)、『仕事・人間関係「もう限界! 」と思ったとき読む本』(KADOKAWA)などベストセラー著書多数。累計100万部を超える。

感情はコントロールしなくていい 石原加受子 著

感情はコントロールしなくていい
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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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