はじめに

虫よけ薬は例年より使う量が増える?

虫よけ薬も気温に敏感に反応して購入数が増えるため、夏場に向けて買い忘れないよう心掛けたい商品です。図5は、縦軸を購入指数(週合計値)、横軸を気温(日最高気温の週平均値)として、両者の関係を散布図に示したものです。

図を見て分かることは、最高気温が20℃を超える4月頃から7月にかけて、気温の上昇とともに購入指数が右肩上がりに伸びています。今夏の気温が平年に比べて高めということは今年の7月も購入指数が例年に比べて高くなることが予想されます。

特に今年は、在宅リモートワークという働き方の浸透により、1日じゅう家に誰か人がいる、というケースが増えるのではないでしょうか。家の中に虫が入ってこないように虫よけ薬を使うニーズも増えそうです。

また7月、8月も学校への通学機会が増えるため、朝の登校前に虫よけ薬を使用するなど、例年に比べてその消耗が激しくなる可能性があります。気づいたら使い切っていたということがないように、常に家庭内の在庫状況をチェックしておきたいものです。

図5 虫よけ薬の購入指数と気温の関係

※4月頃(灰色のプロット)の最高気温20℃を超えるあたりから7月(桃色のプロット)にかけて、気温上昇とともに購入指数が右肩上がりに増えています。

夏場も「マスク着用」の時代に

例年と異なる傾向として、今夏の需要で注目される最大のポイントは、マスクです。通常であれば、図6のとおり、マスクは気温が低い冬場に購買指数が高く、気温が高い夏場に購買指数がやや低くなっています。

しかしながら、これからのwithコロナの生活では、マスクの需要が高い状態が続くことでしょう。事実、国内のドラッグストア及びスーパーマーケットでのマスクの購入数は、新型コロナウイルス感染が拡大し始めた今年1月下旬から、急激に増加しました。

2月以降は全国で顕著な品薄になり、購入数は前年の水準を下回る状態が続きました。それが、4月半ば頃からは、供給量が増えたこともあってまた前年を大きく上回る購入数となりました(図7)。

なお猛暑下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高まることが指摘されています。熱中症の発症リスクを下げることを考えれば、最近各社が通気性を高めるなど工夫を凝らしたマスクを販売していますので、このような夏向けマスクもあわせて使ってみてはいかがでしょうか。

図6 マスクの購入指数と気温の関係(2018年、2019年)

※2019年までは、気温が低いほど購入数が多くなる、はっきりとした関係がありました。

図7 1~5月の、マスクの購入指数と気温の推移(2018、2019年と2020年との違い)

※2020年は4月半ば頃からまた購入数が増加傾向にあります。


データ出典:株式会社True Dataのドラッグストア版パネルデータのうち、全国の傾向を代表して関東エリアのものを掲載しています。購入指数は当該カテゴリの1店舗あたり購入数の週合計値を、2018~2019年の2年間平均に対する割合で示したものです。気象データは関東エリアの代表地点として、東京の気象観測点のものを用いています。

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