はじめに

「つみたて投資」は絶対ではない

現在の株高がコロナバブルではなく、その前から続く過剰流動性相場なのだとしたら、やはりいずれは終わるのではないか。であれば、投資を今から始めても、遠くない将来に相場が下落するから損をしてしまうのではないかと思うかもしれません。

しかし、筆者は投資未経験者や初心者の方にはつみたて投資を勧めていますが、つみたて投資をする限りにおいては、変にいつ相場が下落トレンドに転じるかなどは考えずに、始めようと思ったらすぐ始めてしまうのがいいと思います。

NISAやiDeCoなどの制度ができたこともあり、日本でもつみたて投資をしている個人投資家は増えましたし、それを推奨する人達も増えました。勘違いをしてはいけないのは、相場展開によってはつみたて投資は一括投資よりもパフォーマンスが悪くなる場合もあるのです。つまり、つみたて投資をあまり神格化せずに、しっかりと弱点も理解したうえで、つみたて投資をしようということです。

筆者は何度も主張していますが、将来のことは誰にも分かりません。ですので、自分が投資を始めたタイミングが上昇していく時なのか、下落していく時なのかは予測できませんが、自分がつみたて投資を始めて終わるまでの値動きが上図の左側であれば、一括投資よりも高いパフォーマンスを発揮できますが、右側の場合は一括投資の方が高いパフォーマンスとなります。

このことに基づけば、これから下がるから投資を始めないよりは、むしろいま始めた方がいいと考えるのではないでしょうか。

結局は将来がどうなるかなど誰にも分からない訳ですから、思い立ったが吉日で、無理のない範囲で始めてしまうことをお勧めします。

それでも「つみたて投資」を勧める理由

つみたて投資の弱点はあまり語られることがありませんが、先程の左図のような値動きには弱いことや、一方的な値動きにも弱い側面があります。将来のことは分からないとはいえ、過去何十年にも渡るデータを見た時に、株価はやはり上下に波を打つものであり、今後もそうであると考えるのが妥当です。

やはり上下に波を打つ相場展開において力を発揮し、かつ相場の値動きを無視して機械的に淡々と継続できるつみたて投資はギャンブル性が低く、老後資産の形成には最も向いている投資法だと思います。

ただし、つみたて投資を始めるにあたり、守らなければいけないのは、基本的には一度始めたらよほどのことがない限り、やめずに続けることです。投資未経験者や初心者が始めると、最初のうちは相場もあまり見ずに淡々と続けられるのですが、少しずつ知識も付き始め、徐々に相場を見るようになります。それ自体は素晴らしいのですが、相場を見る時間が長くなるほど、値動きに一喜一憂し始めます。

今年の2月、3月のような急落を前にした時、恐怖心や不安が勝ってしまい、つみたて投資をやめてしまうかもしれません。相場が右肩上がりの時は気分よく、つみたて投資を続けられても、急落した時にやめてしまうのは最悪な行為になってしまいます。どんどん購入単価を高くし、大きく損切りしていることになります。

つみたて投資は下落している局面でも淡々とつみたてていくからこそ、上昇局面で利益を乗せていけるのです。

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