はじめに
前回、子どものオンラインゲームやスマホの利用に悩む保護者たちの声を取り上げました。
スマホやパソコン、ゲーム機でのゲームへの過激な熱中、依存は「ゲーム障害」としてWHOの『ICD-11』の国際疾病分類に認定されています。
新型コロナ感染拡大による臨時休校、短縮された夏休みが明け、コロナとの共存が求められる現在。子どもたちのスマホ利用やゲーム依存の実態と、家庭での対応策を、子どものみならず大人にも適用する「インターネット・ゲーム・SNSなどの依存度チェックリスト」を交えながらお伝えします。
スマホをやめなさいと言わないことが大切
依存症回復支援団体の一般財団法人ワンネスグループは、スマホ依存、ゲーム依存をはじめとした、子どもや未成年者の依存症問題に取り組んでいます。
ゲーム依存症を含め依存症に対して、保護者や家族、友人などまわりは「やめさせたければ"やめなさい"と言わないことが大切です」と、依存症回復支援団体・一般財団法人ワンネスグループの心理カウンセラーであり、子どもや未成年者の依存症について「家族の関わり方講座」や「訪問支援」を担当する片桐淳氏は言います。なぜなのでしょうか。
人間のコミュニケーションにおいて、相手に伝わる情報には「バーバル(言語による情報)」と「ノンバーバル(非言語による情報)」とのふたつがあります。
「実は、相手へ伝わる情報のほとんどは、言いかたや表情、声色などのノンバーバル(非言語)からであるといわれています。言葉の内容は、さほど相手に伝わっていないのです。
依存症者にとって、まわりが言っていることは"正論"です。依存症者ははっきりと自覚はしておらずとも、心のどこかで『これはいけないことだ、人を悲しませることなのだ』ということを知っています。また『わかっている。いまやろうと思ったのに…言われたからやる気がなくなった』と返されることもあるかもしれません。
さらにいうと、人間の脳は、知っていることに対しては注意を向けません。たとえば、教科書を繰り返し読んでも、頭に残らないという経験をしたことはないでしょうか。
こういった理由から、依存症当事者へ、家族が言葉で『(依存対象の物質や行為を)やめなさい』と言ったとしても、受け手である依存症当事者には、その言葉の内容ではなく、家族が怒っている、迷惑しているなどということだけが強調されて伝わってしまうのです」
いわば、逆効果となってしまったり、家族関係を拗らせてしまったりと、依存症をより深刻化させかねない危険性が高いのです。