はじめに

感染を抑え込んだベトナムは

航空会社が苦境に陥っているのは、新型コロナ禍が深刻な国だけではないようです。新型コロナの累計感染者数を370人台に抑え、市中感染もここ3ヵ月確認されていないベトナムでも航空会社が厳しい見通しを示しています。

ベトナムのナショナルフラッグキャリアであるベトナム航空は、今年の通期業績について、売上高が前年比50%減の50兆ドン(約2300億円)、純利益が13兆ドン(約600億円)の赤字に転落するとの見方を明らかにしました。

そのほか、民間航空最大手のベトジェット航空も今年通期の業績目標を、売上高は前年比28.9%減の36兆ドン(約1700億円)、税引前利益は同97.8%減の1000億ドン(約5億円)に設定しています。

ベトナムでは5月から国内線の運航が再開され、国際線についても近く一部路線の運航開始向けて交渉が大詰めを迎えています。当初はベトナム国民やベトナム進出企業の関係者などを対象に、東京、ソウル、広州、台湾路線で便数を制限して運航が再開される見通しです。

ただ航空需要の回復には程遠い状況で、ベトナム航空は8月末にもキャッシュフローが枯渇するとの危機感を募らせています。7月13日に実施されたグエン・スアン・フック首相の経済諮問委員会の会合では、同社が12兆ドン(約560億円)の緊急支援を要請しました。

近年、経済の高成長を追い風に、アジアの航空市場を牽引してきた東南アジアの航空会社ですが、新型コロナ禍が長期化する中、しばらく綱渡りの経営を強いられそうです。

<文:市場情報部 北野ちぐさ>

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