はじめに
遺言書の内容はチェックしてもらえない
みなさん、遺言書はなんのために作成するのでしょうか?
「残された方のため」「自分の想いや願いを叶えるため」
いろいろな考えがあるかと思います。
どんな考えであったとしても「最終的に財産を承継してほしい」と考えていることは、全ての遺言者に共通しているのではないでしょうか? そうだとすると、自筆証書遺言が有効だとしても相続手続きができない遺言書では意味がありません。
「相続させる」と書くべきであった遺言があったとします。そこに「遺贈する」「渡す」「譲る」と記載があった場合はどうなるでしょう? 自宅を妻へ相続させたいと考え「妻へ自宅を相続させる」と書いたらどうなるでしょう? 遺言書には、手続き上からも「執行者」を指定しておくことをお勧めしておりますが、ちゃんと指定がされていますでしょうか?
ここで重要なのは、上記のような遺言が相続手続きにどのように影響があるのか。これを理解して作成しているかどうかです。
遺言の作成件数は年々増加傾向にあります。私自身、年齢や家族、子供の有無にかかわらず、多くの方に遺言を書いて欲しいと考えています。それは、遺言がなかったことで困っている方や争いになってしまった方などから、多くの相談を受けているからです。しかし、遺言があったことで家族が混乱し、時には争いになってしまうことがあります。そのほとんどは自筆証書遺言という、遺言者が自分自身で作成したものでした。
有効な遺言書あっての保管制度
今回、自筆証書遺言保管制度が始まったことにより、多くの方の遺言が安全に保管されることは大変嬉しいことです。しかし、保管ができても実際に相続手続きができなければ意味がありません。
相続に携わる専門家としては、「遺言を作成する!」と考える方のために、正しい遺言の書き方を伝えること、そして、相続を考えていなかった方には「遺言を作成したい!」と思っていただけるように、正しい情報の発信や相談場所の提供ができるような場を広げていきたいと思います。
<行政書士:細谷洋貴>